富来のスケボー場、工事中止 震災で構想練り直し 志賀町議会開会

建設中止が決まったアーバンスポーツ施設の屋外エリア=志賀町富来領家町

 志賀町は、富来地域の中心部で進めていたスケートボードや自転車のBMXなどができるアーバン(都市型)スポーツ施設の建設工事の中止を決めた。被災した町民の生活再建を優先させるためで、昨年9月から着手してきたエリアの工事は半分程度の進捗で終了。昨年末に初当選した稲岡健太郎町長は計画の見直しを公約にしており、今回は地震の影響を受けた判断だが、事業をストップし、富来のにぎわい創出の構想を練り直す。

 12日に開会した町議会3月定例会で工事請負契約額の変更に関する議案が全会一致で可決され、小泉勝前町長が進めた目玉事業の一つが転換を迫られることになった。

 アーバンスポーツ施設は、「志賀は定住、富来は観光」を掲げた前町長時代に、若者に人気のスポーツによる交流人口の拡大を目指して計画された。敷地面積は約9800平方メートルで、公設のスケートボード場としては県内最大の規模だ。

 1期工事として屋外エリアが整備中で、今年3月に完成させた後、新年度からの2期工事で屋内エリアに取り掛かる予定だった。

 しかし、コンクリートに亀裂が入るなど整備したエリアで損壊が確認されたほか、住民の生活再建に向けた費用に予算を優先的に回す必要があり、工事を止めることを決断。議案では当初の契約額2億3195万円から、1億2477万円に変更された。

 町は富来の新たな振興策を検討する方向で、稲岡町長は「住民と対話を重ねて土地の活用法を考えたい」と話した。

 このほか、町は新年度、企画財政課に「震災復旧復興創生室(仮称)」を設ける。復旧復興に向けた事業計画の策定や生活再建など施策を推進する。

 10日現在で1043件計3億1088万円の義援金が寄せられた。稲岡町長は準半壊、一部損壊の世帯にも配分する考えを示した。補正予算で対応する。

 全世帯を対象に上下水道料金を12月使用分から3カ月分を全額免除する。復旧が遅れた東増穂地区の一部と西浦地区は4カ月分を免除する。

 本会議には一般会計371億円の新年度当初予算案などの議案、専決処分の承認計56件を提出した。会期は26日までの15日間。

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