石川の応援割、初日「完売」続々 富山は3割、福井8割

  ●「もう少し予算あれば」

 石川県内で12日、能登半島地震を受けた観光復興支援策「北陸応援割」の予約受け付けが始まり、宿泊施設や旅行会社に予約が殺到した。16日に北陸新幹線駅が開業する小松市や加賀市では予算上限に達する旅館が相次ぎ、2次避難者を受け入れる施設にも多くの予約が入った。8日から予約を受け付けている富山県は3割の施設で完売、新幹線敦賀延伸を控えた福井県は8割の施設が売り切れており、沿線では観光客増加への期待が高まっている。

 「売り切れまで1時間もかからなかった。異例の予約スピードだ」。加賀市山中温泉の旅館「白鷺湯たわらや」の田向公太郎専務は予約の勢いに驚いた。12日午前0時に受け付けを開始し、1時間たたずに予算上限に達した。

 午前9時の発売から約1時間半で売り切れた小松市粟津温泉の旅館「のとや」では午後になっても電話がやまず、担当者が完売の説明に追われた。被災者約130人を受け入れている加賀市のホテルアローレも連絡が相次ぎ、週末がほぼ満室となった。

 金沢市の金沢ニューグランドホテルは午前9時の受け付け開始から2時間半で予約者が千人を超えた。担当者は「電話が多すぎて、入力が間に合わない」と話した。

 旅行会社も好調だ。金沢市の「ほっこく観光」では片山津ゴルフ倶楽部でのプレー付き宿泊プランの予約が相次いだ。別の旅行代理店は約45分で受け付けを終え、担当者は「もう少し予算があれば」と漏らした。

 石川県誘客戦略課の担当者は完売した施設数は集計中とした上で、「南加賀を中心に予約は好調に推移したと聞く」と話した。

 福井県は12日午後5時時点で応援割の対象となる約370施設のうち8割が予算上限に達した。芦原温泉を抱えるあわら市では26施設のうち25施設が完売した。

 福井県観光誘客課の担当者は「16日の北陸新幹線敦賀開業で、全国から旅行先として注目されている」と話した。福井県全体の予算が8億円と少ないことも要因に挙げた。

 富山県では12日午後5時時点で252施設のうち89施設が受け付けを終了した。一部の施設では15分で受け付けを終えた施設もあるといい、県は国に予算増額を要望する準備を進める。新潟県の担当者は「多くの施設が既に販売を終えた」と説明した。

 ★北陸応援割 能登半島地震で落ち込んだ観光需要を喚起する政府の支援策。1人1泊2万円を上限に、16日から4月26日の宿泊代金が最大50%引きとなる。交通費込みの旅行商品も対象。旅行会社や宿泊施設に割り当てられた予算がなくなり次第終了で、ビジネス利用は対象外となる。石川県は2次避難を受け入れた宿泊施設も参加できるよう、5月の大型連休以降に第2弾を実施する。

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