「孤立化が容易に想像できる」能登半島地震の被災地と立地条件が似ている「伊豆半島」の危機感 南海トラフ巨大地震へ 行政も住民も動き出す=静岡

能登半島地震の被災地と立地する条件が似ている静岡県の「伊豆半島」。危機感を共有することで南海トラフ地震などの次の災害に備えようと、行政も、住民も対応に動き出しています。

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<熱海市 斉藤栄市長>
「能登半島と我々の伊豆半島、半島という地形、そして道路の整備が必ずしも十分に進んでいない、こういった類似性から、各地域の孤立化、救援隊や救助物資が中々到達できなくなることが容易に想像できます」

伊豆半島でいつ地震災害が起きても不思議ではない。危機感を募らせた静岡県伊豆地域の7市6町は3月4日、会議を開きました。

「半島」という地形から複数の地域が孤立し、救援に時間がかかった「能登半島地震」。三方を海に囲まれた伊豆半島も南へ行くほど災害対応が難しいとみられ、どうやって助け合うのか、考えを共有しました。

<熱海市 斉藤栄市長>
「伊豆半島全体が有事の際にきちんと対応できるようにするにはどうしたらいいのか、話し合う場を作っていこうと。みんな人ごとではないというか」

住民の間でも危機感が高まっています。

<防災無線の音声>
「訓練、訓練。海岸付近の方は高台に避難してください」

南海トラフ巨大地震で最大14メートルの津波が想定される東伊豆町。熱川海岸のある奈良本地区では3月10日の津波避難訓練で観光客を高台に誘導する方法を確認しました。また、けが人や高齢者をリアカーで運べるか、検証しました。

海のすぐ近くに高台があり、逃げる場所は確保できています。しかし、避難ルートには急な坂があります。

<東伊豆町奈良本地区 加藤政司区長>
「60代、70代は無理だよね。30代、40代の消防団員に頑張ってもらいたい」

頼りにしたいのは「若い力」ですが、東伊豆町の65歳以上の高齢者の割合は47.3%と静岡県全体の30.4%を大きく上回っています。伊豆では、どの市や町も同じような状況です。

<東伊豆町奈良本地区 稲葉正央福祉防災委員長>
Q.助ける消防団も若い人がいないと…
「ちょっとそこは難しいところもありますね」

高齢化が進む中、どうすればスムーズに避難できるのか。訓練では、静岡県の防災アプリを使って、かかった時間を計測しました。

<参加者>
Q.うまく避難できましたか?
「大丈夫ですね。みんな5分くらいで避難できた。同じ避難場所でも、どの経路で行けば負担が少なく済むかというところもある。こういった訓練を通して事前にシミュレーションできれば、いちばん理想かなと思う」

今できるのは、危機感を共有して訓練を重ねることです。

<東伊豆町防災課 山田知治課長補佐>
「東北の地震から13年経って、今回、能登半島地震が起きた。我々地域のものと捉えて、経験を積むことで防災力が高まることを望みたい」

住民も、行政も地域の力を最大限に活用する方法を探り、災害に立ち向かおうとしています。

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