災害時のトイレ確保、自治体8割が不十分 青森県内アンケート #知り続ける

マンホールトイレの使用イメージ。実際は屋外に設置し、下水道に接続して使う

 東日本大震災、能登半島地震など大規模災害の被災地では、断水などの影響で水洗トイレが使えなくなった。避難生活でトイレの確保・管理は、食料や飲み水の確保と同様に切実な問題だ。東日本大震災13年を機に東奥日報社が実施した青森県内自治体アンケートで、避難所の災害用トイレの確保状況について尋ねたところ「確保されていない」「今後増やす予定」と答えた市町村が8割超に上った。

 国内の大災害では、水が流れないのにトイレを使用してしまう人が相次ぎ、排せつ物があふれて劣悪な衛生環境となるトイレが少なくない。感染症のリスクが高まるほか、被災者がトイレの使用を減らすために水分や食事を控え、体調を崩して災害関連死につながる恐れもある。

 今回のアンケートで「確保されていない」と答えたのは11市町村。備蓄はあるものの「十分に確保しているとは言えない」(野辺地町)とする自治体が多かった。むつ市は、東日本大震災の避難者数から2500人を基準に確保済みだが、県が2022年に公表した地震・津波被害想定調査で想定された最大3万人を基準に増やす必要がある-と回答。ただ「保管場所などの問題があり、具体的な検討ができていない」という。五戸町は「備蓄量に限りがあるため、協定締結などにより必要数を確保していく」とした。

 「今後増やす予定」と回答したのは22市町村。「能登半島地震の検証結果を踏まえ、検討していく」(五所川原市)、「凝固剤使用後のごみの置き場所が課題。マンホールトイレ設置も検討する」(おいらせ町)などの意見が出た。八戸市は簡易トイレなどの拡充に加え、普通免許で運転できるトイレカーを導入する。

 また「確保されている」と答えた自治体の中にも「配備箇所に偏りがあるため、配置を見直す」(青森市)などの声があった。

 県は「災害備蓄指針に基づき計画的に携帯用トイレの整備を進めている。仮設トイレは災害時応援協定で対応する」と回答。今後「備蓄の内容や数量の再検討を行う予定」とした。

 ※県内自治体アンケートの主な回答はこちら。

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