1.5次避難所、長期化で体調悪化も 金沢市で活動・西村信哉さん(弘前大病院)指摘 #知り続ける

避難所で高齢者に対し、いすに座った状態でできる体操を教える西村さん(左奥)ら(本人提供)

 能登半島地震で導入され注目を集めた「1.5次避難所」。1月中旬から1週間、金沢市の同避難所で活動した弘前大学医学部付属病院の西村信哉さん(37)は12日までの東奥日報の取材に、避難所生活が困難な高齢者などを被災地から安全な場所に移す1.5次避難の考え方を評価した一方、避難が長期化した際の対応を課題に挙げた。

 1次避難所は地震などの災害直後に被災者が身を寄せる学校や集会所などを指す。2次避難所はホテルや福祉施設など環境が整った住空間。1.5次避難所は配慮が必要な高齢者や障害者、妊産婦らが2次避難所に移るまでの間滞在する施設で、被災地から離れた場所に開く。看護師が常駐し防災用テントで居住空間が分けられていることで、1次避難所よりも避難者が安心して過ごせることが利点だ。

 西村さんは弘大病院のリハビリテーション部療法士長。医師や理学療法士らでつくる医療ボランティア団体「日本災害リハビリテーション支援協会(JRAT)」の青森県派遣員として今回の活動に参加し、高齢者の健康状態などを聞き取り、リハビリ面で支援した。

 1.5次避難所では問題も散見された。自分で歩けない高齢者を受け入れてくれる2次避難所がなかなか決まらないケースがあった。そうしているうちに寝たきりになり、体調を崩す高齢者が出始めた。西村さんは「1.5次避難所は短期間の滞在を前提とした施設のため、長期間避難する高齢者が多くなると手が回らなくなる恐れがある」と指摘する。

 青森県でも日本海溝・千島海溝地震などの大地震が起これば、沿岸部を中心に大きな被害が想定される。発災時、介護が必要な高齢者を受け入れるのは、内陸部で2次避難所となる施設が多い弘前市などが有力となる。

 西村さんは「1.5次避難所の機能を最大限生かすため、高齢者を受け入れられる2次避難所の確保を話し合っておくことが大切だと分かった」と話した。

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