おひとりさまで暮らすか、子どもたちと同居するか、子どものいる方は考えどころかもしれません。介護保険や遺族年金制度が整い、おひとりさまが増えましたが、この先はどうなるでしょう。話題の書籍『老いの地平線 91歳自信をもってボケてます』から、著者の樋口恵子さんのメッセージを紹介します。
※2023年9月1日に配信した記事を再編集しています。
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「おひとりさま」か「不本意同居老人」か
昔は......といっても、つい10年、20年前まで、高齢者は都市圏にいる子どもの家に引き取られることがよくありました。「呼び寄せ老人」「引き取り老人」なんて言葉があったくらいに、ひとり暮らしになると残ったばあさん、たまにはじいさんも、そして老夫婦も引き取られていたわけです。
これを行政用語でいうと「不本意同居老人」。そんなうれしくない言葉があったそうですが、今は不本意同居がほとんどなくなりました。
そもそも子どものほうだって同居なんかしたくない。年寄りのほうは自分ひとりじゃどうしようもないから、不本意ながら行っていたわけです。それが最近は、「いいから、いいから。まだひとりで大丈夫。もうちょっと弱ったら頼む......かもね」。
というわけで、おひとりさまがこれだけ増えているのです。
そして、その背景にあるのは介護保険と遺族年金(※)。この制度が整ったからこそです。介護保険制度ではおひとりさまでもさまざまな介護サービスや福祉サポートを受けることができ、夫亡き後は遺族年金が受給できます。
昔はひとり暮らしになった高齢者は子どもからの仕送りで生活していました。仕送りしてもらっておいて「私はここにいたい。そっちの家には行きたくない」とは言いづらいでしょうから、不本意同居もやむなしという状況だったといえます。
そういう意味では、現代は社会全体が豊かになったのです。だから「行かない、同居しない」と言えるようになった。ひとり暮らしはお金がかかりますからね。
ところが今、電気代やガス代が上がっています。こんなに光熱費が高くなると「もうひとりでは暮らしていけない」なんて声も聞こえてきそうです。
もしかしたら、「不本意同居老人」がまた増えるかもしれませんね。
※遺族年金
遺族基礎年金と遺族厚生年金がある。亡くなった人によって生計を維持されていた遺族は、亡くなった人の年金の加入状況などにより、いずれか、または両方の年金が受け取れる。
脳科学者にほめられたボケない暮らし
脳科学者の方にほめられた、私の普段の暮らしをご紹介します。これをやっていれば絶対ボケない!とは言い切れませんが、専門家にほめられるとうれしいものですね。
おしゃれを忘れない
仕事のときや、人に会うときは、美容院に行ったり、顔まわりに明るいスカーフを選んだり。おしゃれ心=社会性がある、ということだと思います。無理に新しい服を買わなくても、服や小物の新しい組み合わせを考えるのだって、脳にはいいんです。
花を愛でる
同居している娘は庭いじりが趣味で、バラやクリスマスローズ、ユリ、山野草などさまざまなものを育てています。やっぱり緑があるとほっとします。私は愛でるだけですが。嗅覚が衰えると認知症のリスクが高まると専門医が言っていました。郵便受けに新聞を取りに行くのが日課で、花の香りをかいでいます。
なるべく自力で歩く
84歳で建て替えた自宅には、エレベーターをつけました。荷物を2階へ運ぶのに役立っています。でも普段は階段を使って、なるべく歩くようにしています。自宅の廊下を往復するのも立派なリハビリにつながります。
書籍紹介 『老いの地平線 91歳自信をもってボケてます』
樋口恵子著
主婦の友社刊
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老いのトップランナー・91歳の評論家 樋口恵子さんの痛快エッセイ。ボケるのが怖い人、老後の暮らしを心配している人、まだまだ夢をもって超高齢期を迎えたい人、親や祖父母世代が認知症になったらどうしようと悩む若い人、どんな世代にでも、男女差なく読んでいただきたい本です。社会学者・上野千鶴子さんとの「貧乏ばあさんの生きる道対談」、脳科学者・瀧靖之さんとの「ボケにくい!健脳対談」も収録。巻頭グラビアでは「91歳が安心して住める家実例」を紹介。
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※この記事は『老いの地平線 91歳自信をもってボケてます』樋口恵子著(主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集しています。