「温泉、祈りと関係」群馬県立歴史博物館の江原さん、前橋市で講演

温泉文化について説明する江原さん

 群馬県立歴史博物館(高崎市)の学芸員、江原幸太郎さんが講師を務める講演会「温泉大国ぐんま~まだまだ知らない群馬の温泉」が12日、前橋市総社公民館で開かれ、市民約30人が本県が誇る温泉の歴史を学んだ。

 江原さんは、歴史的に人々が温泉とどう関わってきたのかについて紹介。かつて温泉は「信仰」と密接な関係だったと指摘し、四万温泉(中之条町)の「日向見薬師堂」などを挙げて「温泉は長い期間漬かって病気を療養する場所で、祈りと深く関わっていた」と解説した。

 温泉番付と呼ばれる江戸時代の「諸国温泉功能鑑」も取り上げ「最も位の高い大関は『上州草津の湯』だった」と説明。その上で「温泉は明治時代以降、社会の変化とともに、湯治から保養、そして観光へと変わっていった」などと、社会の中における温泉の位置付けの変化に言及した。

 講演会は前橋市の総社歴史勉強会(吉沢信明会長)が主催。県立歴史博物館で昨年10~11月に開かれた企画展「温泉大国ぐんま」を受けて、本県の温泉文化について理解を深めてもらおうと企画した。

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