長引く人通りの減少 地域と連携を取りながら「味噌だれ」に活路 神戸の飲食店の今を老舗店店主に聞く

神戸の餃子といえば「味噌だれ」。これフックに地域との連携を深める飲食店に話を聞いた

新型コロナウイルスが5類感染症に位置づけられてから8か月ほどが経過した。にぎわいを取り戻した場所もあるが、未だに新型コロナウイルスの流行前の人通りに戻らない場所もある。

【写真】ボリュームたっぷりの長崎ちゃんぽん 「味噌だれ」に活路見出した店の看板メニュー

神戸市垂水区にある長崎ちゃんぽん・皿うどんの店「もん吉」の店主・出口豊昭さんは「昼はまだしも、夜はなかなか人が戻らない」と話す。以前は午後11時まで営業していたが、現在は午後10時に店を閉めているそうだ。今年68歳を迎える出口さん。「僕らの時代はもう終わりなので、息子の意見を受け入れていかないといけない」と話す。

しかし、うつむいてばかりもいられない。看板メニューのちゃんぽん・皿うどんは自身の味を受け継いでほしいと願う気持ちがありつつ、新しく他のメニューを生み出すときなどはしっかりとバックアップを行っている。

長崎出身の出口さんは、神戸にやってきて50年。今年、店が28年目を迎える中で活路を見出だすべく、去年の8月に隣に店舗を設けてオリジナル冷凍餃子の販売を始めた。

さらに、オリジナルの餃子のたれ「神戸味噌だれ」も開発した。客からの評判も上々だという。ちなみに出口さんがすすめる餃子の焼き方は、サラダ油ではなくラードを使うこと。独特の風味があり、深みとコクが加わる上にパリッと仕上がるのだそう。

店を守ろうと策を練り出す出口さんには、それと同じくらい大切にしていることがあるという。それは「地域同士のつながり」だ。つながりを深めることは店舗経営において、ひいては地域活性においてもとても重要だと出口さんは語る。

「たとえば、味噌だれを近くの銭湯や書店に置いてもらい、近隣の人が作った無農薬の野菜をもん吉で扱っています」(出口さん)

老舗の店主が地域とともに歩む姿勢で繰り出す新たな取り組みは、今後も続いていきそうだ。

※ラジオ関西『こうべしんきん三上公也の企業訪問』2024年2月28日放送回より

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