鹿児島県の新体育館計画、事業費またまた増える可能性 当局「人件費が問題で、若干高騰していくだろう」と示唆

鹿児島県が新総合体育館の整備を計画しているドルフィンポート跡地(中央)

 鹿児島県は13日の県議会文教観光委員会で、最大313億円とした新総合体育館の事業費について、「人件費の問題があり、若干高騰はしていくだろう」との見方を示し、今後の増額を示唆した。建築資材価格も下落の見込みはないとし、事業費が増える場合は「県議会に説明して議論を踏まえた上で対応する」と繰り返した。

 県は3月定例会に新体育館の事業費関連議案を初めて提出。19日の予算特別委員会で可決されれば、4月の入札公告が事実上決まる。13日の文教観光委は、通常の審査日程を組み替え、事業費や規模、立地する鹿児島港本港区ドルフィンポート跡の是非を巡って集中審査した。委員10人のほか、16人の議員が出席した。

 質疑は資材や人件費の高騰、施設の省エネ化対応、金利上昇で事業費が基本構想より68億円増えたことが最大の論点になった。

 県は、事業者と契約後に維持管理運営費などが上昇した際、契約金額を増やす「インフレスライド条項」の適用を検討すると説明。観光・文化スポーツ部の悦田克己部長は「現時点で事業費に大きな高騰はない」とも述べた。

 委員は老朽化した現体育館の建て替えには理解を示す一方、「工事開始後に事業費が増えても止められない」などの批判が出た。

 県は8月末で閉店するイオン鹿児島鴨池店跡地に体育館を整備する可能性を改めて否定した。イオングループが、体育館と一体化した再開発は困難で、別々に建設するには面積が足りないとの意向を県に示したのを理由に挙げた。

 整備は民間資金を活用した社会資本整備(PFI)手法を導入。2029年7月の開設を計画する。今年12月に落札者を決め、設計・建設は25年4月~29年3月を見込む。

新総合体育館整備について集中審査する県議会文教観光委員会=13日、県議会庁舎

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