レトロインテリア『モザイクタイル』 昭和の住宅では必ず見かけた? 風呂場・洗面台の定番アイテム

お風呂場で見たことある? モザイクタイル

昭和住宅のお風呂や洗面所といえば、青や黄色など、色とりどりのタイル・丸い石を敷きつめた柄をイメージする人も多いのではないでしょうか。高度経済成長期以降、住宅の水回りでは「モザイクタイル」と呼ばれる、いわゆる“昭和っぽい”タイルが多く使われるようになりました。

【写真】見たことある? 昭和住宅のトレンドインテリア! 水回りで見かけた「玉石」のモザイクタイル

モザイクタイルについて、INAXライブミュージアム(愛知県常滑市)の後藤さんに話を聞きました。

―――昭和の時代、住宅にはどのようなタイルが使われ始めた?

【後藤さん】 タイルの製造量は、高度経済成長とともに右肩上がりに。都市部の集合住宅では、大量生産された規格サイズの内装タイルが、トイレや浴室、キッチンといった水まわりの壁・床に使われるようになりました。内装タイルが使われた浴室やキッチン、トイレは、公団住宅の価値を向上させることに一役買っていました。

都会から離れた農村の住宅でも都会と同様にタイルが使われていましたが、都会の集合住宅とは異なり農村の住宅は形もさまざまだったため、さまざまな形状や色合いのタイルが使われるようになりました。曲面の多い浴槽などでは磁器質のモザイクタイルが好まれたり、タイルで浴槽全体を覆ったり、さまざまでした。

―――なぜ、昭和にタイルの製造が増加した?

【後藤さん】 都市部において、公団住宅をはじめとする集合住宅が増加。それによりタイルの使用量が増加しただけでなく、タイルが持つ耐水性と耐久性といった機能性がより求められるようになったからだと考えられます。

―――モザイクタイルとはどのようなもの?

【後藤さん】 1枚の面積が50平方センチメートル以下という、工業的には比較的小さなタイルを「モザイクタイル」と呼びます。小さなタイルで装飾性豊かな表現ができることが、モザイクタイルの特徴といえます。

タイルのサイズが小さかった理由は、当時、大きな形状を作ることが難しかったからだといわれています。そのため、小さなタイル一つひとつが敷きつめられている住宅が多かったのだと思います。

―――なぜ、さまざまな色のモザイクタイルが登場した?

【後藤さん】 内装タイルが普及した昭和初期は白色が主流で、駅や学校のトイレの壁には白いタイルが使用されていることがほとんどでした。一方、個人住宅や店舗などでは、個性的なさまざまな色合いを用いたタイルを使う人が増加。景気の良かった当時、家のなかを華やかに見せたいという思いがあったのではないでしょうか。この流行によって、タイルメーカーはさまざまな色合い、特徴的な形状のタイルを開発したのです。

さまざまな形・色の石が散りばめられた「玉石」のモザイクタイルは、当時の風呂や洗面台で多く使われていましたね。「玉石」は、昭和を代表するタイルとして多くの人に認知されているのではないでしょうか。

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平成に入り、より耐水性に優れたプラスチックなどが登場したことで、内装用タイルの使用は徐々に減少。外装についても、ガラスや金属に置き換わっていったといいます。

昭和住宅の“水まわり”を代表する、色とりどりのモザイクタイル。懐かしのインテリアアイテムを取り入れて、昭和レトロを楽しんでみるのも良いかもしれませんね。

※ラジオ関西『Clip』2024年3月14日放送回より

(取材・文=濱田象太朗)

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