「リカルドよりはるかに良い仕事をした」サウジGPの角田裕毅を元F1ドライバーが称賛!「過小評価されているのは不当なことだ」

F1第2戦のサウジアラビア・グランプリ、ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)の角田裕毅は9番グリッドからスタートしたものの15位。2024年シーズンのスタートは、彼にとって厳しいものとなっている。

ハースのケビン・マグヌッセンに違法な形で追い抜かれ、意図的にラップタイムを落として“蓋”をされるだけでなく、抜き返そうとした際にはコース外に押し出されて逆に順位を落とすなど、フラストレーションの溜まるレースの後、さらにレコノサンスラップでのアンセーフリリースでペナルティーを受ける羽目となった。

しかし、各国メディアの評価が総じて悪くなかったのは、予選での見事なパフォーマンスがあったからだ。全ラウンドでトップ10に入り、Q2で敗退したチームメイトのダニエル・リカルドを完全に打ち負かしたことは、強い印象を見る者に与えた。メディア、チーム首脳陣はもちろん、レッドブルのヘルムート・マルコ顧問も、リカルドを引き合いに出して角田を称賛している(英国のモータースポーツ専門サイト『CRASH』より)。

「今季は、ユウキとダニエルの両方にとって多くのことが懸かっている。ユウキの予選はとても良かったが、一方でリカルドはすぐに何かを改善策を見つける必要がある。少なくとも、角田は予選では非常に優れている」

もっとも、結果に厳しい御大は、「ただ、第1スティントでポイント圏内にいたものの、その後は後退してしまった……。タイヤに過度の負担をかけているのか、それとも他の理由があるのかを見極める必要がある」と、決勝のパフォーマンスについては修正を求めている。

また、ミナルディ(RBの前身チーム)などで出走経験のある元F1ドライバー、クリスチャン・アルバースは、母国オランダの日刊紙『De Telegraaf』のポッドキャストで、サウジGPでの角田について「角田はマグヌッセンの後ろを走っている間、良い時間を過ごすことはできなかったが、私は彼に対して本当に敬意を表したい」と語り、以下のように続けた。

「角田は開幕戦に続き、再びマグヌッセンの後ろを走ったが、とてもクレイジーだった。ただ、マグヌッセンは言うまでもなく守りの上手いドライバーであり、サッカーチームにDFとして加入できるほどだった(笑)。角田は今週末、全てが全くダメだったリカルドより、はるかに良い仕事をした。私は今でもまだ、角田が過小評価されていると感じており、それは不当なことだと思っている」
このようにF1の先輩から賛辞を贈られた角田だが、一方でこの件を報じた英国のF1専門サイト『F1 OVERSTEER』は「確かに過小評価されているかもしれないが、角田がパドックの注目を集めるためには、もう少し印象的な結果を出さなければならない。彼はまだ表彰式に立ったことがないため、良いポジションにいる時には重大なミスを犯すことが多い」と指摘している。
また、同メディアは紹介した他の元F1ドライバーのコメントも紹介しており、この中でカルン・チャンドックは「レッドブルは2025年に角田を昇格させる考えは持っていないようだが、彼はその考えを覆させるために、より努力する必要がある」と、角田のさらなる奮起を促した。

ここまでチーム内対決ではほぼ勝利を収めており、予選でもバーレーンGPでは0.007秒差の11番手、サウジでは9番手と進歩を遂げている角田。決勝では連続して悔しさを味わう羽目となったものの、これを教訓・糧として結果を残したいところだ。次戦はオーストラリア、続いて鈴鹿での母国GPを迎えるが、ここで上昇気流に乗れるか。

構成●THE DIGEST編集部

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