東日本大震災の津波に耐えて立ち続けた岩泉町小本の一本松が、倒れた。被災から13年で樹勢が衰えていたところに2月下旬の暴風雪が直撃したとみられる。「未来につなぐ希望の松」と命名し、復興と伝承のシンボルとして大切に見守ってきた地元住民たちが残念がる。
雪の残る小本川河口付近。樹齢推定87年のクロマツ1本が根元付近から折れていた。高さは18メートルで、現地を管理する県によると、根元部分に虫食いの被害が見られ腐っていた。住民から連絡を受けた町が今月1日に倒木を把握し、その後、県に知らせた。
周辺は防潮林としてクロマツが並んでいたが、2011年3月11日の津波でほとんどが流された。残った10本ほども塩害で徐々に枯れ、15年ごろ1本だけに。未来につなぐ希望の松として、22年に被害や教訓を伝える「震災伝承施設」に登録された。