24年春闘、県内上場14社が賃上げへ 人材獲得へ待遇改善 23社調査、物価高対策も

 2024年春闘で、栃木県内の上場企業にも賃上げの動きが相次いでいる。下野新聞社の13日までの調べによると、県内上場23社のうち少なくとも14社が4月以降、基本給の水準を一律で引き上げるベースアップ(ベア)や定期昇給(定昇)などによる賃上げを予定していることが分かった。理由は物価高騰対策や、人手不足を背景とした人材の確保を挙げる企業が目立った。大手企業が軒並み賃上げに踏み切る中、県内上場企業も待遇改善による人材獲得を図っている。

 賃上げを実施すると回答した企業のうち、ベアを予定する企業は少なくとも10社だった。

 このうち家電量販店のコジマ(宇都宮市星が丘2丁目)は4月、係長以下の正社員に対し、定昇とベアを合わせて8.8%の賃上げを実施する。ベア率は6.7%(1万7700円)と前年の1.5%(4千円)を大きく上回る。新卒者の初任給は2万円引き上げる。同社は「物価高への対応と優秀な人材を確保するため」と説明した。

 情報サービスのTKC(宇都宮市鶴田町)は「物価高騰に伴い生活給として」、5千円のベアを含め5%の賃上げを予定する。大卒の初任給を5千円、高卒は7500円引き上げる方針。

 電子機器受託製造サービスの大日光・エンジニアリング(日光市根室)は、定昇とベアを合わせて3~5%程度を引き上げる予定。経費節減や生産効率の向上を図るとともに、製品価格への転嫁によって原資を確保するとしている。

 ベアと定昇で3.5%の賃上げを予定するのは、食品素材製造の仙波糖化工業(真岡市並木町2丁目)。昨年はベアを見送ったが、今年は2%程度を見込む。理由に物価上昇や人材確保を挙げており、「物流費の高騰など収益を圧迫する要素がある中、いかに賃上げ分の原資を生み出していくかが大きな課題」とした。

 成果型の賃金制度を導入する電子・光学材料製造のデクセリアルズ(下野市下坪山)も、基本給や一時金を引き上げる予定。新卒者の初任給は、大学院博士課程修了者を5万5千円(約21%)アップするなど大幅に改定する。「業界大手に対して競争力のある水準に引き上げる」と説明した。

 東京鉄鋼、グランディハウス、タツミ、ムロコーポレーション、滝沢ハム、フライングガーデン、SCAT(スキャット)、AeroEdge(エアロエッジ)なども4~7月に賃上げを実施する方針。この他、労使交渉中として回答を控えた企業などもあった。

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