温暖化の影響で変わりゆく「尾瀬」 半世紀撮り続ける有馬氏「写真が過去の思い出にならないこと願う」

とちぎテレビ

栃木や群馬など4つの県にまたがる「尾瀬国立公園」では、温暖化でシカの生息地域が拡がり、貴重な高山植物などにも影響が及んでいます。

尾瀬の自然に魅了され、およそ半世紀にわたり写真を撮り続けてきた元教員の男性が、自然の変化や保護への想いを語ってくれました。

こちらは尾瀬を代表する風景、尾瀬ヶ原の下ノ大堀のミズバショウ。よく見ると地面が掘り起こされ荒らされています。

半世紀に渡り尾瀬に足を運び写真を撮り続けてきた元小学校教員の有馬雅美さんによりますと、シカが足で掘り起こしたあとだといいます。

40年前の尾瀬は春先でも雪が深く尾瀬沼近くでも4、5メートル積もり沼の上を歩けるほどだったといいますが、温暖化の影響で雪の量も減りシカが地面を掘り起こしやすくなったのだといいます。

また、こちらは2019年に撮影された大江湿原。ニッコウキスゲが最盛期を迎えたときですが、シカによる食害の影響を受けていると有馬さんは言います。

この風景に感動する観光客も少なくありませんが、過去を知る有馬さんにとっては残念で仕方がないといいます。2022年写真集を出版し展示会を行いながら尾瀬の今を伝えている有馬さんにとって、撮りだめた写真が過去の思い出にならないことが今の願いです。

© 株式会社とちぎテレビ