ローマ教皇、ウクライナ名指し避けて戦争非難 ロシアは賞賛

Alvise Armellini

[バチカン市 13日 ロイター] - ローマ教皇フランシスコは13日、サン・ピエトロ広場で定例の一般謁見を行い、あらゆる戦争を非難し「狂気を克服する恵みを求める祈り」を呼びかけた。ただ、ウクライナの名指しを避けた。

教皇は9日公開のスイスメディアとのインタビューでロシアの侵攻を受けているウクライナに向けて「白旗の勇気を示す」という言葉を発したばかり。ウクライナや西側の政府はウクライナに対ロシア降伏と和平交渉入りを求める示唆と受け止めて激怒していた。

12日になってバチカンの国務長官ピエトロ・パロリン枢機卿がイタリアメディアの取材に、ロシアがまず侵略を停止するべきだと語って釈明していた。

13日の一般謁見は「白旗」発言後では初めての公の場での教皇の発言だった。今回はウクライナや他の紛争地域を特定しないまま「大勢の若者が(戦争での)死に向かっている」などと聴衆に語りかけた。

一方、在バチカンロシア大使館は13日、教皇在位11年の祝意を表明し「世界問題に関し真に戦略的な視点を持つ数少ない政治指導者の一人」などと賞賛するコメントをX(旧ツイッター)に投稿した。

教皇は一般謁見で、戦死した男性のロザリオの数珠と福音書を渡されたと述べた。ただ、戦闘地域は特定しなかった。

事前に拝謁していたアルゼンチンのルシア・カラム修道女はソーシャルメディアに投稿し、その男性は先月ロシア軍が制圧したウクライナ東部の要衝アブデーフカで死亡した23歳のウクライナ兵だったと書き込んだ。

ロザリオは元々教皇に祝福されたもので、カラム修道女が教皇に返したという。教皇はその際「彼はウクライナを愛している。侵略され、残酷な攻撃を受けた人たちの殉教に苦しんでいる」と述べ、ロザリオにキスし感動したようだった、と明らかにした。

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