大阪・関西万博「大屋根リング」閉幕後の再利用へ提案20件 一部を展望台として会場へ残す案も

大屋根リング 外観イメージ ※画像提供・日本国際博覧会協会

大阪・関西万博(2025年4月13日~10月13日 184日間)を運営する日本国際博覧会協会は13日、会場の人工島・夢洲(ゆめしま・大阪市此花区)に設置する大屋根リングについて、閉幕後の有効な活用策を公募し、20件の提案が寄せられたと明らかにした。
同日行われた理事会後に、十倉雅和・博覧会協会会長(経団連会長・住友化学会長)が会見で述べた。

【画像】大阪・関西万博「大屋根リング」のいま

大屋根リングには環境への配慮や鉄骨使用時のコストとの比較などを鑑みて、国内外のスギやヒノキを用いる。完成時のサイズは、建築面積(水平での投影面積)約6万平方メートル(甲子園球場の約1.5個分)。
カーブが傾斜する「バンク」形状となっており、高さは内側12メートル・外側20メートル、直径が約650メートル、デッキの幅は約30メートル、1周すると約2キロメートルの規模となる。一般の建物なら3~5階建てで、木造建築物としては世界最大級という。

リングの建設は、会場の3つの工区で、大林組、清水建設、竹中工務店がそれぞれ共同企業体(JV)を構成して担当している。2024年3月現在で木造構造部分の約70%の着工が進んだ。
今後、すべてのリングがつながり、木組み部分が完成するのは今年(2024年)9月の見込み。さらにエスカレーターや照明の取り付け、屋根部分の植樹などを経て、2025年1月に完成する予定。

博覧会協会は当初、大屋根リングの整備に約350億円を投じて閉幕後に解体するとしていたが、国会で与野党の議論の的になり、「無駄遣い」「世界一高い日傘」などと批判された。

提案の募集は2024年2月14~29日。自治体や学校法人、設計事務所、建設事務所、木材加工・家具の各メーカーなど民間企業、公的機関を問わず幅広く集まった。
再利用の案としては、大きく分類して▼新たな建造物の骨組みとなる「構造材」として▼「構造材」以外として▼大屋根リングの全体または一部を会場内へ残す の3つ。

構造材としては高速道路の料金所ゲート、歩行者デッキ、仮設住宅、備蓄倉庫や避難櫓として使用するなどの案が寄せられた。
構造材以外としては、家具、建物の内外装、ベンチなどの案が挙がった。

会場内に残す案としては20件中3件あり、展望台として部分的に残し、各ブロック間はリングの外形を想起させる空間デザインとする構想が寄せられた。

博覧会協会はこれらの案を参考として活用策を詰め、2024年6月に開催予定の理事会で方向性を決めるという。そのうえで来年(2025年)初めからの公募入札の準備を進める。

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