帰宅困難者の一時滞在施設、スマホで案内 要援護者など属性選択、安全に誘導 全国初、神戸市がシステム

スマートフォンに表示される帰宅困難者支援システムのイメージ

 神戸市は14日、災害時に発生する帰宅困難者をスマートフォンを使って安全に誘導する全国初のシステムを開発した、と発表した。駅などにQRコードを掲示し、市の指定する一時滞在施設に案内する仕組みで、4月1日から運用する。

 市によると、地震や豪雨で交通網がまひした場合、三宮や元町などオフィスの集中する中央区だけで最大20万人が「帰宅困難」になると推定。徒歩での帰宅や会社滞在が可能な人を除いても、1万8千人が行き場を失う恐れがある。

 新システムは、鉄道駅や商業施設のデジタルサイネージ(電子広告)、立て看板に専用のQRコードを掲示する。利用者はスマホでコードを読み込み、専用サイトで「(高齢者や障害者などの)要援護者」「乳幼児連れ」「外国人」など自らの属性を選択。表示された複数の候補から施設を選び、名前や連絡先を入力して予約すると、ナビ機能で施設まで案内してくれる。

 市は一時滞在施設として公共施設、ホテル、ホールなど中央区内で26カ所を指定しており、約2万人の受け入れが可能。システムは日本語、英語、中国語、韓国語、ベトナム語の5言語に対応する。

 市はこれまで帰宅困難者対策として、いったん公園などに集まってもらい、市職員らが行き先を振り分けることを想定していた。しかし、大人数の振り分けは容易でなく、自動誘導システムの開発に着手したという。久元喜造市長は「システムを事前にしっかりと広報し、いざという時はスムーズに運用できるようにしたい」と述べた。

 市は同時に、災害情報や避難所の開設状況などを集約したサイト「リアルタイム防災情報」も新設。帰宅困難者支援システムも同サイトから利用できる。(井沢泰斗)

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