【上野】東京国立博物館・台東区立書道博物館連携企画 生誕180年記念 呉昌碩の世界

トーハク「生誕180年記念 呉昌碩の世界—金石の交わり—」と書道博物館「生誕180年記念 呉昌碩の世界—その魅力と受容—」

東京国立博物館台東区立書道博物館連携企画第21弾「生誕180年記念 呉昌碩の世界」を見て来ました。

東京国立博物館の「生誕180年記念 呉昌碩の世界—金石の交わり—」[2024年1月2日(火)~ 3月17日(日)]と台東区立書道博物館の「生誕180年記念 呉昌碩の世界—その魅力と受容—」[2024年1月4日(木)~ 3月17日(日)]で呉昌碩ワールドの魅力にハマって来ました。

※特別な許可を得て撮影しています。館内は一部を除き撮影禁止です。

出典:リビング東京Web

呉昌碩(ごしょうせき)とは

呉昌碩(1844~1927)は、清朝(しんちょう)末期から中華民国(ちゅうかみんこく)初期の時代に、詩・書・画・印に偉大な足跡を残した芸術家です。

咸豊10年(1860)、17歳の時に生まれ故郷の浙江省安吉県(せっこうしょうあんきつけん)太平天国の乱(たいへいてんごくのらん)に遭い、母や弟、妹、許嫁を失い父と共に想像を絶する過酷な放浪生活を送ったそうです。

30代も混乱と貧困の中で、呉大澂、潘祖蔭、呉雲ら収蔵家の知遇を得て鑑賞眼を磨き続けました。

宣統3年(1911)辛亥革命(しんがいかくめい)が起き、翌1912年に清朝は滅亡。この年から呉昌碩と名を改めます。

70歳で西泠印社 (せいれいいんしゃ)の初代社長、72歳で海上題襟館金石書画会(かいじょうだいきんかんきんせきしょがかい)の会長となり、上海芸苑の領袖として中心的存在となりました。

出典:リビング東京Web

「石鼓文(せっこぶん)」と呉昌碩の作風

18世紀後半以降の中国では、古代の金属器や石刻など、金石(きんせき)の銘文を拠り所とする碑学派(ひがくは)や金石画派が起こります。

古代文字の研究を重ねた呉昌碩は、「石鼓文(せっこぶん)」の臨書(りんしょ)を晩年まで繰り返したそうです。

右から、《臨石鼓文軸》《篆書四字軸「觴詠墨縁」》

50代から70代の頃に独特な篆書の様式を確立させた呉昌碩。《臨石鼓文軸》は、67歳の時の石鼓文の臨書です。

古風で素朴な味わいのある呉昌碩の作風は、古代中国の世界をイメージさせる不思議な魅力があります。

出典:リビング東京Web

呉昌碩83歳の書《行書「槐安(かいあん)」軸》

呉昌碩83歳の時の書で、没する前年に書かれたそうです。実業家で、中国書画の収蔵家だった高島菊次郎(たかしまきくじろう)の号「槐安」を書写したものです。

気迫のこもった力強い筆致は、清時代末から中華民国へ移り変わる激動の時代を生き抜いた生命力を感じさせます。

出典:リビング東京Web

《篆書般若心経十二屛(てんしょはんにゃしんぎょうじゅうにへい)》

呉昌碩74歳の時に篆書で般若心経を12幅に書写した《篆書般若心経十二屛》

鄧石如(とうせきじょ)《篆書般若心経八屛》を以前に見ていた呉昌碩は石鼓文の筆意をまじえて書写したとのこと。

謹厳な運筆は、仏教経典に相応しく、すっきりとした文字の姿透明感さえ感じさせます。

出典:リビング東京Web

台東区立書道博物館「生誕180年記念 呉昌碩の世界—その魅力と受容—」

JR鶯谷駅から徒歩5分。東京国立博物館から徒歩約15分。子規庵の向かいにある台東区立書道博物館

洋画家であり書家でもあった中村不折(なかむらふせつ)が蒐集した、中国及び日本の書道コレクションを専門に展示する博物館です。

開催中の「生誕180年記念 呉昌碩の世界—その魅力と受容—」では、書道博物館の本展キャラクター・呉昌碩くんの分かりやすい鑑賞ガイドで、楽しく展示を見ることが出来ました。

出典:リビング東京Web

篆刻(てんこく)、わずかな変化を楽しむ《「蒲作英」朱文方印》

「自分の芸の第一は篆刻である」と語っていた呉昌碩は、篆刻でも妙腕をふるいました。

《「蒲作英」朱文方印》は、先輩書画家の蒲華(作英)のために作った印章。

わずかに右に傾いている「蒲」に対応して「作英」はわずかに左に傾けています。

呉昌碩くんの解説によると「このくらいの、よく見ないとわからない変化を楽しむのが篆刻の魅力の一つ」だそうです。

出典:リビング東京Web

梅をこよなく愛した呉昌碩の《墨梅図軸(ぼくばいずじく)》

呉昌碩42歳の作《墨梅図軸(ぼくばいずじく)》(左)。呉昌碩は、梅をこよなく愛したそうです。

「にじみを効果的に用いた若々しい描写の梅です。若い頃のわしの書はふっくらとした線質で、全体的に優しさを感じさせます。」呉昌碩くんの解説です。

出典:リビング東京Web

日本の知識人とも交流した呉昌碩

清朝末期から中華民国初期の激動の時代に、上海芸苑の中心人物として活躍した呉昌碩

富岡鉄斎、日下部鳴鶴、長尾雨山ら明治の日本の知識人とも交流がありました。

書画篆刻(しょがてんこく)の芸術に偉大な業績を遺した呉昌碩の魅力が満載の展覧会です。

兵庫県立美術館(1月13日(土)~4月7日(日))でも開催中です。

東京国立博物館台東区立書道博物館連携企画「生誕180年記念 呉昌碩の世界」は3月17日(日)まで。

春も間近な上野・鶯谷界隈へ是非お出かけください。

台東区立書道博物館 ミュージアムグッズ

書道博物館ミュージアムグッズ、昔の書の偉人キャラクターシール(300円)。

呉昌碩くんをはじめ書画の大家がカワイイキャラクターシールになっています。

出典:リビング東京Web

〇連携企画

東京国立博物館「生誕180年記念 呉昌碩の世界—金石の交わり—」

会期:2024年1月2日(火)~3月17日(日)※前期:2024年1月2日(火)~2月12日(月・振休)、後期:2024年2月14日(水)~3月17日(日)

会場:東京国立博物館 東洋館8室

台東区立書道博物館「生誕180年記念 呉昌碩の世界—その魅力と受容—」

会期:2024年1月4日(木)~3月17日(日)※前期:2024年1月4日(木)~2月12日(月・振休)、後期:2024年2月14日(水)~3月17日(日)

会場:台東区立書道博物館

〇東京国立博物館

URL:https://www.tnm.jp/

住 所:〒110-8712 東京都台東区上野公園13-9

アクセス:JR 上野駅公園口・鶯谷駅南口から徒歩10分、東京メトロ上野駅・根津駅、京成電鉄京成上野駅から徒歩15分

お問合せ:050-5541-8600 (ハローダイヤル)

開館時間:9時30分~17時 ※総合文化展は毎週金・土曜日は夜19時まで ※入館は閉館の30分前まで

休 館 日:月曜日(祝・休日の場合は翌平日休館)

観 覧 料:本館総合文化展、東洋館 一般 1,000 円/大学生 500 円 ※特別展は別料金になります。黒田記念館は無料です。

※入館方法の詳細は東京国立博物館ウェブサイトをご確認ください。

※高校生以下、および満18歳未満と満70 歳以上の方は総合文化展は無料。入館の際に年齢のわかるものをご提示ください。

※障がい者とその介護者1名は無料。入館の際に障がい者手帳などをご提示ください。

※開館日・開館時間・展示作品・展示期間等、今後の諸事情により変更する場合があります。最新情報は、東京国立博物館ウェブサイト等でご確認ください。

〇台東区立書道博物館

URL:https://www.taitocity.net/zaidan/shodou/

住 所:〒110-0003 台東区根岸2丁目10番4号

アクセス:JR鶯谷駅(北口)から徒歩5分、北めぐりん⑬入谷区民館根岸分館(書道博物館)から徒歩3分

お問い合わせ:03-3872-2645

開館時間:9時30分~16時30分※入館は閉館の30分前まで

休 館 日:月曜日

観 覧 料:一般 500円(300円)、小・中・高校生 250円(150円)

※( )内は、20人以上の団体料金。

※障害者手帳、療育手帳、精神障害者福祉手帳、特定疾患医療受給者証をお持ちの方とその介護者の方は無料です。

※毎週土曜日は、台東区内在住・在学の小・中学生とその引率者の方は無料です。

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