【ミャンマー】「支援で国際社会団結を」、WFP幹部[社会]

国連世界食糧計画(WFP)のカール・スコウ副事務局長兼最高執行責任者(COO)は、3日間のミャンマー訪問を終えて13日に声明を出し、同国の紛争や経済混乱に苦しむ人々の支援強化で「国際社会が団結するときだ」と語った。クーデターから3年以上がたち、ミャンマーに対する国際的な関心は薄らいでいる。食料支援のための拠出や寄付が不十分だとして窮状を訴えていく方針だ。

スコウ氏は、「どこにいようと、必要とする全ての人々に届かなければならない」と強調。ミャンマーでは270万人以上が国内避難民となっており、4人に1人が十分な栄養を摂取できない「急性食料不安」に陥る危機にあると訴えた。

ミャンマー各地で紛争が続く中、現地の非政府組織(NGO)や市民団体が人々の支援を続けている。ただ、紛争などで活動が難しい地域へのアクセスや資金面で国際支援が必要という。

同国では軍事政権とそれに抵抗する各勢力が存在しており、人道支援の在り方が課題になっている。各国は軍政容認と捉えられかねない直接的な支援を避ける傾向にあり、国際機関の果たす役割が重要となっている。日本の外務省が8日に発表したミャンマーへの追加支援の3,700万米ドル(約54億円)も国際機関やNGOに拠出する形で、このうち一部がWFPに割り当てられている。

スコウ氏はミャンマー訪問中に首都ネピドーも訪れ、軍政の3大臣(内務、外務、投資・対外経済関係)らと会談した。ミャンマー国内での活動には国軍を含む各勢力との調整が不可欠だが、かじ取りが難しい状態だ。

隣国タイは、ミャンマーへの「人道回廊」を設置する計画を進めている。同国内で昨年10月から武力衝突が増えた上、軍政が今年4月から徴兵制を実施する方針を示していることで、タイでは避難を求める人の大量流入への懸念が高まっている。

軍政に抵抗する民主派らによる挙国一致政府(NUG)は、人道支援での国軍との協力を非難している。

© 株式会社NNA