仙台育英が試合に招待 被災地で練習の飯田、輪島高野球部

仙台育英高との試合に向け練習する飯田高の選手=珠洲市内

  ●3.11直後、珠洲合宿の「恩返し」

 能登半島地震で被災した飯田、輪島両高の野球部が27~29日、2022年夏の甲子園で優勝した宮城県の名門仙台育英高の招待試合に参加する。同校の須江航監督(40)が13年前の東日本大震災直後に珠洲市の招きで合宿を行ったことから「恩返しをしたい」と声を掛けた。2校の野球部員らは甲子園常連校と対戦できる日を心待ちにし、地震の爪痕が残る奥能登で練習に励んでいる。

  ●甲子園常連、対戦心待ち

 招待試合は宮城県多賀城市にある仙台育英高野球部のグラウンドで行う。合同練習も行い、部員同士の交流を深める。

 飯田高の山田恵大(けいだい)主将(2年)は強豪との試合に「話を聞いたときは驚いた。胸を借りるつもりで楽しむ」と語り、エースの吉田純光(とうあ)さん(同)は「自分の力がどれだけ通用するか試したい」と意気込んだ。輪島高の濱田勢生さん(1年)は「強いチームとの対戦を経験できるのはありがたい」と目を輝かせた。

 仙台育英の須江監督は東日本大震災の発生時、同校系列の中学校で野球部の監督を務めていた。地震の影響で部活動を休まざるを得ない日が続いたが、珠洲市緑丘中などの誘いで同市内で合宿を行うことができた。

 須江監督は当時を振り返り「能登の震災は人ごとじゃない。来年以降はこちらが能登へ行って試合や子どもとの交流をしたい。支援は継続することに意味がある」と話した。

 これに対し、飯田高の笛木勝監督(40)は「被災地を思い、行動に移す人間性が野球の強さに表れている。生徒たちにはその精神を学びながらプレーしてもらいたい」と期待した。

 また、笛木監督は同校野球部員が地震の影響で今も全員練習に取り組めていないことに触れ「招待試合の3日間だけは地震を忘れて野球を全力で楽しんでほしい」と話した。

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