2024年に注目される10の技術トレンド 日本企業(CVC)が後れを取っている技術とは?

生成AIに取り組む企業の一覧(ペガサス・テック・ベンチャーズ作成)

米国シリコンバレーのベンチャーキャピタルであるペガサス・テック・ベンチャーズ(日本法人:東京都品川区)は2024年3月12日に「2024年トップ技術トレンドと日本企業が取るべき対策」と題したオンラインセミナーを開催した。

同社の創業者でCEO(最高経営責任者)のアニス・ウッザマン氏が、世界の技術トレンドの中心であるシリコンバレーから、2024年に注目される技術やビジネスの10のトレンドについて解説し、大企業の投資担当者らおよそ1000人が聞き入った。

ペガサスはCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の運用をメインにしており、運用する40のファンドのうち、30が企業とペガサスの2社でファンドを組成する二人組合となっている。

世界14カ国で投資活動を行っているが、アニス・ウッザマン氏が東京工業大学を卒業していることもあり日本への思い入れは強く、日本の企業が世界で活躍するためには「スタートアップと早い段階から連携して技術を導入していく必要がある」などと強調した。

生成AIの活用に後れを取る日本

セミナーでは10の技術トレンドの1番目に生成AI(人工知能)を挙げた。同AIの飛躍的な進歩によって、世界経済に大きな変化が訪れ、10年以内に世界のGDP(国内総生産)を7%(約1050兆円)増加させるといった見通しを披露。

そのうえで、OpenAIの生成AIである「ChatGPT」やグーグルの生成AI「Gemini」などと対抗できるような、AnthoropicCohereなどのいくつかのAI企業を紹介するとともに、日本企業が生成AIの利用が遅れていることや、AIのスタートアップが少ない点を指摘。

このままでは、経済的に後れを取ってしまうおそれがあるとし「日本企業も何らかの形で生成AIにかかわるべき」とアドバイスした。

技術トレンドの2番目に上げたのがSDGsで、2030年までに1805兆円以上の事業機会が見込まれるとの見通しを披露。さらに世界の企業の80%以上がSDGsを支持すると表明しており、40%の企業がSDGsの達成にどのように貢献するかについて測定可能なコミットメントを設定しているとの調査結果を紹介。

続けてリサイクルやクリーンエネルギ―など幅広いSDGsの中で、どの分野に注目すべきなのかについて同社の考えを示し、二酸化炭素の回収、固定化については米国のBlue Planet を、洋上風力発電については米国のHYDRO WIND ENERGYを、リサイクルについては米国のAMPを紹介した。

時代遅れになる

技術トレンドの3番目がマテリアルサイエンスで、平均的なソーラーパネルの変換効率(太陽光をどれだけ電気に変えることができるのかを示す指標)の4倍ほど高い「ペロブスカイト」や、高い伝導率を持ち放熱のスピードも速い「グラフェン」、さらに用途の広い「リチウムイオン電池」などの素材を紹介。

これら素材を研究しているスタートアップとして、ペロブスカイトについては米国Swift Solarを、グラフェンでは米国のNanotech Energyを、リチウムイオンバッテリーではスウェーデンのNorthvolt社(ノースボルト)を紹介した。

このほかに「サイバーセキュリティ」「量子コンピューティング」「ニューロテクノロジー」「自動化」「メタバース」「自動運転」「バイオテクノロジー」などを取り上げた。

いずれも実際にこれらテーマで事業に取り組んでいるスタートアップを紹介するとともに、日本企業に対し「世界のスタートアップ企業はアジアや日本に関心を持っている」や「スタートアップとの連携に取り組まないと時代遅れになる」などの言葉をかけた。

文:M&A Online

M&A Online

M&Aをもっと身近に。

これが、M&A(企業の合併・買収)とM&Aにまつわる身近な情報をM&Aの専門家だけでなく、広く一般の方々にも提供するメディア、M&A Onlineのメッセージです。私たちに大切なことは、M&Aに対する正しい知識と判断基準を持つことだと考えています。M&A Onlineは、広くM&Aの情報を収集・発信しながら、日本の産業がM&Aによって力強さを増していく姿を、読者の皆様と一緒にしっかりと見届けていきたいと考えています。

© 株式会社ストライク