欧州はロシアのエスカレーションに備えを、仏大統領が呼びかけ

Michel Rose

[パリ 14日 ロイター] - フランスのマクロン大統領は14日、ロシアがウクライナでの戦争に勝ったとしてもウクライナで止まることはないとの見方を示し、欧州に「弱腰」にならず、対応する準備を整えるよう呼びかけた。

マクロン大統領は先月、パリで開催したウクライナ支援の国際会合で、欧米諸国の地上部隊をウクライナに派遣する可能性を排除しない考えを表明。ロシアに対する「戦略的な曖昧さ」を提起することを意図したものだったが、さまざまな議論が巻き起こった。

マクロン氏はこの日、テレビのインタビューで「ロシアがこの戦争に勝てば、欧州の信用は地に落ちる」と指摘。ロシアに対する弱さを示し、ウクライナへの侵攻を助長させることになるため、欧州は「レッドライン(越えてはならない一線)」を引いてはならないと述べた。

フランスの野党指導者らは、マクロン氏の発言が好戦的だと批判した。

マクロン氏は全く同意できないとし「ウクライナへの支援を巡る採決で棄権したり反対票を投じたりすることは平和を選ぶことではなく、敗北を選ぶことだ」と反発した。

主要野党の極右政党は、フランスがウクライナと結んだ安全保障協定に関して今週行われた議会採決を棄権。極左政党は反対票を投じた。

マクロン氏は「欧州に戦争が広がれば、ロシアの責任だろう」と指摘。「だが、われわれが弱腰になり対応しないと決断すれば、すでに敗北を選んだことになる。私はそれを望まない」と述べた。

ただ、ウクライナへの派兵が行われる場合、どのようなものになるのか詳細については明言を避け「正確に言えない理由がある。プーチン大統領にヒントを与えるつもりはない」と語った。

その上で、フランスは決してロシアに対して攻撃を開始することはないとし、フランスはロシアと戦争状態にあるわけではないと言及。ウクライナは現在「困難な」状況にあり、同盟国のより強力な支援を必要としているとし「ロシアのどの大統領であろうと」和平交渉を行うときが来ることを望んでいると語った。

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