奥智哉&青木崇高が震撼した“あの一行”「人生でいちばん瞬きをしました(笑)」

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たった一行で読者を熱狂させ、日本のミステリーに金字塔を打ち立てた綾辻行人の『十角館の殺人』。その内容から長らく“映像化不可能”とされてきたが、ついにその禁忌が破られるときが来た。3月22日からHuluにて独占配信開始の「十角館の殺人」は、まさに不可能を可能に変えた挑戦作だ。

天才建築家・中村青司が謎の死を遂げた角島。無人島と化したその島に残されたのは、十角形の奇妙な外観を持つ館“十角館”。そこへ合宿に訪れた大学ミステリ研究会の面々に再び死の惨劇が訪れる。

この謎に挑む江南孝明役に奥智哉、江南と行動を共にする島田潔役に青木崇高を配し、発表から37年の時を経て、いよいよ傑作ミステリーが甦る。さあ、あなたは真相を見破れるだろうか。

今まで味わったことのない衝撃でした

――お二人は原作を読んだとき、“あの一行”までに真相を見破れましたか。

無理でした(笑)。

青木 もうNOとしか答えようがない。こんなの見破れる人なんて。

絶対いないですよね。

青木 綾辻先生と当時の編集者さんくらいじゃないですか(笑)。それくらい緻密だなと思いました。

初めて読んだときは衝撃を受けました。

青木 何かの間違いかと思うよね(笑)。

違うでしょと(笑)。

青木 読んだ瞬間、「ちょちょちょちょっ」って(笑)。たぶん人生でいちばん瞬きをしたかもしれない(笑)。

今までふれてきたあらゆるエンタメの中でも味わったことのない衝撃でした。信じられなかったですし、この衝撃はもう今後味わえないんだろうなという気がします。

青木 これは金字塔と言われるわと納得したというか。小説だからできる表現の極み。逆に言うと、映像化なんて考えちゃいけない(笑)。

――その考えちゃいけない映像化が今回実現しました(笑)。

カット一つひとつが本当に計算されているんです。真相に関わるところはうまくぼやかしていたり、他の登場人物で隠していたり。

青木 ミステリーというのは情報をちょっとずつ積み上げていって、それを受け手にどう考えさせるかが重要。その流れを、よく計算したつくりになっているなと思いました。途中、とある説が一瞬芽生えることもあるんです。でもすぐ「そんなわけないよな」と潰される。その意識の誘導が見事でした。

緻密な構成が、不可能を可能にした

――原作を知っている方と、未見の方では、きっと見ているポイントが違いそうです。

青木 そうですよね。真相を知っている人が観ても楽しめるのが、今回の映像化のすごいところです。

未見の人は絶対に2回観てほしいですよね。

青木 自動的に2回観ることになると思う。だから、ドラマ自体は全5話なんですけど、未見の方にとっては10話なんです(笑)。

確かに!(笑) 時系列とか確認したくなりますよね。

青木 真相がわかるところとか、僕はちょっと泣いちゃいましたね。本作はまさしく映像化における最大の挑戦。針の穴に糸を100本連続で通すような緻密な構成が、不可能を可能にしたんだと思います。

――“あの一行”の撮影はいかがでしたか。

“あの一行”の瞬間、空気が変わった感覚がありました。

青木 鳥肌が立つ思いがしたというか。真相を知っている僕たちですらそう感じるのは、それだけ今回のスタッフのみなさんのクリエイティブが突き抜けた証でもあると思います。

江南としてはその時点では真相を知る由もないんです。だけど、奥智哉としてはわかっているわけじゃないですか。だから、お芝居で出してはいけないけど、台詞を聞いただけでこみ上げてくるものがありました。

青木 またそのカットが正面から行くところがいいんですよね。しかも、ハイスピードカメラで。原作ファンのみなさんからすれば、待ち望んだ瞬間であり、この作品の肝。そこをしっかりと際立てながら、さあ見ろよといういやらしさがないところが素晴らしいなと思いました。

すごく特別な空気感があって。あの現場に立ち会えたこと自体、光栄でした。

青木 実は(本作のプロデュース・監督を務める)内片輝監督と以前別の作品でご一緒したときに「映像化不可能ってよく聞きますけど、意外と不可能じゃなかったりする。本当に映像化不可能な作品ってあるんですかね」なんて雑談をしたことがあったんですよ。そのときに内片監督から教えてもらったのが、『十角館の殺人』でした。あのとき、これは不可能だと言っていた張本人が、時を経て、こうして不可能を可能にしたことにも感慨深い気持ちになりましたね。

青木さんに初めてお会いしたときは本当に興奮しました

――ちなみに、奥さんが芸能界に入るきっかけになった作品が、映画『るろうに剣心』なんですよね。ということは、青木さんと初めて会ったときは、やっぱり「左之助だ!」となりましたか。

やっぱり最初はそうなりましたね。

青木 本当に? 剣心の方が良かったとか思ってない?

とんでもないです! 僕はもともと芸能界に疎い人間で、芸能人の方をほとんど知らない中、数少ない知っている存在が青木崇高さんでした。自分がこの業界に入る前から知っていた方なので、自分の中でスター感があって。だから、初めてお会いしたときは本当に興奮しました。

青木 俺の感度が鈍いのか、全然そんな感じがしなかったけどなあ(笑)。

それはぐっとこらえていたからです(笑)。

青木 今はどう? そんな様子ないよ?

撮影をご一緒させていただいたことで、なんとか…。

青木 そっか。今は俺らバディやもんね。

はい。1ヶ月くらい一緒に撮影させていただいたので、すっかりリラックスしてお話しができるようになりました。でもそれも青木さんのおかげといいますか。年下の僕にもいろいろ話しかけてくださったり、意見を聞いてくださったりして。

青木 現場に入ったら年齢は関係ないからね。役にもよるけど、ちゃんとコミュニケーションしてリラックスできる関係を築いたほうがアイデアも出やすい。だから、奥くんはもちろん、監督やスタッフのみなさん、みんなが自分のプランを言いながら、一つひとつのシーンをいいものにしていけたらというのはありました。

おそらく島田さんというキャラクターもあると思うんですけど、本当に接しやすくて。青木さんと一緒にいるときは気が楽だったんですよね。

青木 それは俺の精神年齢が低いからかな(笑)。

いやいや(笑)。でも純粋な子ども心を忘れていない大人という感じがして、そういったところも素敵でした。

僕だったら、泳いで島から逃げ出します(笑)

確認

――もし奥さんと青木さんがミステリ研究会の一員だとしたら、謎の変死事件があった島に合宿に行きますか。

僕は行きますね。

青木 俺も行くかなあ。好奇心というか、肝試し的な感じで行くんじゃないかなと。

――じゃあ、もしそこで本当に殺人事件が起きたらどうしますか。

たぶん極限状態までいってしまったら、僕は物語の中で悪い結果を招くような立ち回りをする人間かもしれません。

青木 どういうこと?

自分の命を第一に考えて勝手な行動をとるあまり、逆に犯人に有利な状況をつくってしまうんじゃないかなと。

青木 ああ。一人で部屋にこもって、第二の被害者になるパターンやな(笑)。

まさしくそれです(笑)。

青木 俺はどうやろうな。なかなか自分で謎を解こうという感じにはならないかもしれないですね。

探偵役はできないですよね。

青木 もう被害者が出てるんですよね。だったら、もう泳いで島から逃げるかも(笑)。

確かにそのほうが助かる見込みがあるかもしれないですね(笑)。それか、僕だったらさっさと十角館を燃やします。

青木 燃やしてどうするの?

燃えたら、もう話が終わるじゃないですか(笑)。で、なんとか助かろうとします(笑)。

取材・文:横川良明 撮影:友野雄

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<作品情報>
Huluオリジナル「十角館の殺人」

3月22日(金) AM10時からHuluで一挙独占配信(全5話)

Huluオリジナル「十角館の殺人」告知画像

配信ページ:
https://www.hulu.jp/jukkakukannosatsujin

(C)綾辻行人/講談社(C)NTV

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