屋久島沖での墜落原因は説明ないまま…米オスプレイ再開に離島住民「また落ちないか心配」、本土住民「情報少なく実感ない」 鹿児島、不安と困惑の声

奄美空港に飛来した米海兵隊のMV22オスプレイ=2023年12月2日、奄美市笠利

 在日米軍の輸送機オスプレイが飛行を再開した14日、同機の緊急着陸が相次ぐ鹿児島県内の離島では、屋久島沖での墜落事故の原因が明らかにされないままの再開に「怖い」「納得できない」と不安が広がった。実態の見えにくい本土では困惑の声が漏れた。

 昨年11月の墜落を海岸で目撃した農業平田耕作さん(68)=屋久島町船行=は「エンジンが火を噴き、近づくように落ちてきた衝撃は一生忘れない。安全とする根拠はどこにあるのか」と疑問視。「また落ちるのではないかと気掛かりだ」と心配する。

 機体残骸の回収を手伝った屋久島漁協の羽生隆行組合長(73)は「国防の観点から仕方ないが、安全対策はしっかりしてもらいたい」と注文。一方で「島上空は飛んでほしくない」との思いも吐露した。

 徳之島町手々の農業嶺田剛さん(70)の自宅前にあるキャンプ場には昨年11月、訓練でオスプレイが着陸した。「沖合を飛ぶのをよく見た。住民を守るためと思っていたが、今のまま飛ばれると怖い。納得いく説明を」と求めた。

 「機体の欠陥は明らか。国民を命の危険にさらしてしまう」と憤るのは奄美ブロック護憲平和フォーラムの城村典文事務局長(71)=奄美市名瀬。「米国の言いなりにならず、もっと抗議すべきだ。また犠牲者を出してはならない」と力を込めた。

 鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地はオスプレイ地上給油の訓練地だが、2021年5月以降確認されていない。市商店街連合会の前田数郎会長(65)は「いつ来るのか、来れば自衛隊機が連日飛び交う鹿屋の風景が変わるのか。情報が少なく、実感が湧かない」。

 市民団体の松下徳二さん(86)=同市旭原町=は、昨年8月に鹿屋基地で起きた米無人偵察機のオーバーラン事故に触れ、「情報を明かさず、強引に再開するのは相変わらずだ。住民の思いを無視した秘密主義がどうにも変わらず、歯がゆい」と嘆いた。

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