防災部署「女性ゼロ」15市町村 青森県内、人員不足など背景に #知り続ける

 青森県内40市町村のうち、災害に対応する防災・危機管理部署に女性職員がいない自治体が少なくとも15市町村あることが、東奥日報社が実施した県内自治体アンケートで分かった。職員数自体が少なく、女性の配置が難しい場合もある。各自治体は部署を超えて女性職員の意見を取り入れるなどし、有事に備えている。

 アンケートは東日本大震災の発生から13年を機に今年2月に実施。防災を担当する部署と職員数を尋ねた。自治体によっては「総務課」など防災以外の業務を行う職員も含まれており、「女性ゼロ」自治体は15より多いとみられる。

 女性職員ゼロと回答したのは黒石、五所川原、十和田、三沢、つがる、平川、平内、鯵ケ沢、深浦、藤崎、板柳、野辺地、東通、五戸、田子の15市町村。このほか大鰐町とおいらせ町は、担当課内に女性職員はいるが防災を担当していない旨を付記した。

 今回の回答で女性比率が最も高かったのは中泊町の55.6%で、総務課職員9人のうち課長を含む5人が女性。ただ、同課の防災消防係は全員男性という。アンケートでは「女性の視点を反映させるため、女性職員を避難所担当として積極的に配置するようにしている」とも答えた。

 次いで高かったのは鶴田町40%(総務課20人中8人)、西目屋村37.5%(総務課8人中3人)。市部では、むつ市16.7%(防災安全課6人中1人)、青森市15.4%(危機管理課13人中2人)、弘前市12.5%(防災課8人中1人)だった。

 「女性の視点」の欠落は、細かなニーズの把握や必要な物資の備蓄の遅れにつながるとされる。女性ゼロの自治体であっても「避難所運営マニュアルに女性の視点による運営要領を反映している」(三沢市)、「備蓄品検討時に、女性の保健師らから意見を聞いてそろえた」(田子町)など、それぞれ工夫している。

 「あらかじめ決めている避難所配置職員3人のうち、女性職員を1人以上配置している」(青森市)など、防災部署の女性職員が少なくても、避難所開設時は別の部署の女性職員に参画してもらうという自治体も複数あった。さらに弘前市と八戸市は防災会議の女性委員確保に努めていると答えた。

 ※県内自治体アンケートの主な回答はこちら。

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