ありがとうサンダーバード 石川ラストラン 和倉温泉駅ファン詰め掛け

大阪に向けて出発するサンダーバードに手を振る駅員や旅館関係者=15日午前10時13分、七尾市の和倉温泉駅

  ●見送り式典 250人乗せ大阪へ

 北陸新幹線の敦賀延伸を翌日に控えた15日、七尾市のJR和倉温泉駅で特急「サンダーバード」のラストランを見送るセレモニーが行われた。全国から鉄道ファンが詰め掛け、駅員や能登半島地震の影響で休業中の旅館関係者も参加。構内には「ありがとうサンダーバード」の横断幕が掲げられ、多くの観光客を能登に運んできた列車との別れを惜しんだ。

 午前10時13分、大澤哲夫駅長が右手を挙げて「発車」と合図すると「サンダーバード20号」が静かに動き出した。茶谷義隆市長らが「お疲れさま」と手を振ると乗客も振り返し、約250人を乗せて終点の大阪へ向かった。

 セレモニーではJR西日本七尾鉄道部の江下喜久夫部長があいさつし、運転士と車掌に花束が贈られた。午後2時半には最後の「サンダーバード17号」が和倉温泉駅に到着する。

 兵庫県から訪れた白石健二さん(57)は「高校時代から能登を旅行し、車窓から見る風景が楽しみだった。最後の列車に乗れて良かった」とした。

  ●旅館「世話になった」

 大阪―和倉の直通列車の誘致に取り組んだ和倉温泉観光協会・旅館協同組合顧問の小田禎彦さんは「サンダーバードにはお世話になった。廃止はさみしいが、和倉を必ず復活させ、新幹線延伸を誘客につなげたい」と期待を込めた。

  ●金沢でもセレモニー

 午後には金沢駅などでもサンダーバードとしらさぎの「ありがとうセレモニー」が開かれる。

 サンダーバードは1997年3月、64年から大阪-富山間を走っていた「雷鳥」の後継として運転が始まった。16日の敦賀延伸でサンダーバードは敦賀―大阪間、「しらさぎ」は敦賀―名古屋・米原間となり、北陸線を走った特急が石川県内からなくなる。1日1往復した大阪―和倉温泉の直通便も姿を消し、特急は金沢―和倉温泉を走る「能登かがり火」のみとなる。

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