サンダーバードありがとう…JR鯖江駅のメッセージボード付箋で埋まる 在来線特急との別れ、あふれる思い

思い出ボードに貼られたJR北陸線や在来線特急などへのメッセージ=3月14日、福井県鯖江市のJR鯖江駅

 「ありがとうJR北陸線」「さよならサンダーバード」―。3月16日の北陸新幹線福井県内開業に合わせ、第三セクター会社ハピラインふくいに引き継がれるJR鯖江駅に「思い出ボード」が設けられ、利用客らがメッセージを次々と記している。地元を走る在来線特急が廃止となる惜別と、これまでの感謝が付箋に書かれ、ボードはあふれる思いで埋め尽くされている。

 福井県鯖江市は新幹線駅が設置されず、その一方で特急は新幹線県内開業後に廃止となる。既に駅構内のコンビニ店が撤退するなど影響も出ている。

 ボードはJR鯖江駅が2月下旬から改札口前に設置。市民や学生、観光客らに鯖江駅の思い出やJR北陸線、特急への思いを付箋に書いてもらっている。ホワイトボードに縦約110センチ、横約150センチの紙2枚が貼られ、「鯖江」の大きな文字が隠れるほど付箋で埋まっている。

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 目立つのは、鯖江市が存続を求めた経緯もある特急へのメッセージだ。「サンダーバード、しらさぎありがとう」「大阪から来ました。(敦賀以東の)サンダーバード、しらさぎがなくなるのはさみしい」などと思いがつづられ、「雷鳥時代からのファンです」と書かれた付箋も。一方で「(特急がなくなると)不便になるなあ」との意見もあった。

 鯖江駅については「大切な友と何度も来ました」「部活で福井まで乗って練習試合に行った」などの思い出が記された。電車や眼鏡のイラストを描いたメッセージのほか、「ありがとうJR これからよろしくねハピライン」と利用継続を伝える言葉があった。

 14日も多くの人が思い出を記した。ハピラインふくいからJR西日本金沢支社に出向している鯖江駅員の加藤輝さん(26)は「予想以上に反響が大きい。貼られた付箋は370枚以上ある」と驚く。鯖江市の男性(77)は「旅行で特急を利用したことが思い出。特急が停車しなくなると思うと涙が出る。1本でも残してほしかった」と惜しんだ。

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