道後温泉の観光スポット「カラクリ時計」。事前の相談なく行政が下した判断に、観光業の関係者から戸惑いの声が上がっています。
道後温泉駅前にあるカラクリ時計は、一定時間ごとに小説「坊っちゃん」の登場人物が音楽とともに現れる、松山を代表する観光スポットの1つです。
しかし、こんな声が…
今治から訪れた人 「小さかったですよね。ちょっと聞こえにくい感じ」 松山から訪れた人 「もうちょっと大きくても良いかなと思う」
時計から流れる音楽や観光案内の音量が小さくなっているんです。発端は、近くに住む人から施設を管理する松山市に寄せられた「カラクリ時計の音が大きいのでは」という意見。
これを受け、松山市は2月6日、音量を10デシベルほど下げたということです。
「車やバイクが通るたびに聞こえにくい」と話すのは、道後商店街振興組合の石田匡暁理事長。音量を下げるにあたって、松山市から地元の観光関係者に対し事前の相談は無く、戸惑いを感じていると言います。
道後商店街振興組合 石田匡暁理事長 「カラクリ時計は動きだけでなく、音楽や説明で世界観に浸れるスポットになっているので、音量への意見があった時に、観光に携わっているみんなと協議した上で、という手順はあってしかるべきとは思っています」
一方、松山市の担当者は「観光客や地元の意見を踏まえ、今後、望ましい形を検討していく」としています。
松山市によりますと、カラクリ時計の音量を規制する法律や条例はないそうです。
一方、愛媛県の条例に拡声器などの使用に関して定めたものがあり、道後商店街のような商業施設が集中するエリアでは、70デシベル以下に制限されています。市は、この条例を参考に時計の音量を概ね10デシベル下げ、最大68デシベルまでとしたということです。
目安として、一般的な音の感じ方は、80デシベルは電車の中やピアノの演奏、70デシベルでは騒がしい室内やセミの鳴き声くらいの音だとされています。
カラクリ時計の周辺は、観光客や車が多く行き交うエリアですから、音量を下げてしまうと物足りなく感じる人も多いのかもしれません。