〈オワコン銘柄〉を底値買いして利益を出す人気投資家YouTuberが「投資は徹底的に“天の邪鬼”であれ」という深いワケ

(※写真はイメージです/PIXTA)

株価が暴落している時に株を買うなんてもってのほか…と考える人が大多数かもしれません。しかし、「徹底的に天の邪鬼であることが成功に繋がる」と、投資研究家の児玉一希氏は言います。児玉氏の著書『株式投資2年生の教科書』より、詳しく見ていきましょう。

買い手がいなくなることで「相場の天井」はやってくる

長期投資で大きく資産形成するには、市場参加者が「株なんて買いたくない」という状況で買いに行くのが重要。恐怖におののく大衆とは真逆の行動を取るのです。

「通りに血が流れている時に株を買いに行け」「銃声が鳴ったら株を買え」「人が貪欲な時に自分は慎重に」「人が恐れている時に自分は貪欲に」といった様々な格言がある通り、徹底的に天の邪鬼であることが成功に繋がります。これは私の実体験からもいえます。

まず、暴落期でなく絶頂期の株式相場を考えてみましょう。多くの人が株(銘柄)に注目し投資すべき! と認識した頃には、ほぼ天井に差し掛かっているケースが多いです。なぜならば、底値から買っていた投資の玄人から何もわからないド素人まで、全ての人々が参加しているからです。普通なら株をやらないような人までやり出すと、その先に株の買い手はいません。

1929年の大恐慌の直前の、元米大統領ジョン・F・ケネディの父であるジョセフ・P・ケネディ氏の逸話が有名です。彼は米国の金融街であるウォール街でも有名な投資家でした。

夏のある日、少年に靴を磨いてもらっていると、少年の口から「この株が儲かる」という類の話が多数出てきました。これを聞いたケネディ氏は、「投資に興味を持たないような貧乏な子どもでさえも株を知っている……、きっと流行も終わりに近い」と悟り、保有していた株を売却したのです。それからほどなく、同年10月に株式市場は大暴落しましたが、難を逃れたのでした。

近年でも米国株の上昇が顕著でした。書店には米国株投資の本が並びSNSでもS&P500の積立で資産形成するのがブームとなりました。

2021年より前に米国株を買っていた方は覚えていると思いますが、GAFAMと呼ばれる巨大IT企業が米国市場の時価総額の多くを占め、株価はさらに上がり、万能神のように思われていました。

ですが、2022年年初からの金融政策や相場環境の変化によって大きく下落。GAFAMだけでなく、業績赤字でも成長期待でグロース株を買っていた投資家の中には、マイナス80〜90%といった巨額の含み損を抱えた方も。

万能と思われがちの米国株も2000年頭からのITバブル崩壊、2008年のリーマンショック、そして2022年の暴落と、定期的にブームになっては暴落を繰り返しています。

このように大勢の人がよいと認知した頃には、買い手も少なくなり、時間も経ってマーケット環境が変わり目にあります。

“天の邪鬼”のごとく買いに行くべき「タイミング」とは?

先ほどの米国のハイテク株とは逆にあまり注目されず、中には「終わった」といわれる銘柄が買い時になる可能性があります。

例えば、原油メジャーのエクソンモービル。2020年の新型コロナウイルスの時には、人の往来が止まり、原油価格が市場初のマイナスになりました。その後、エクソンモービルの株価も大暴落。事業自体が成り立たないという状況です(図表)。

[図表]エクソンモービルの株価の推移 出所:『株式投資2年生の教科書』(Gakken)より抜粋

40年近く増配を続ける高配当株でしたので、果たして配当もどうなるのかという状況でした。ただ、私はこの下落に乗じて株価30ドル近辺のほぼ底値で買っています。この時はしばらく株価が動きませんでしたし、多少の恐怖はありました。

一方で移動需要が消滅しても、原油は電力・化学製品など多数の分野で使われること。そしてコロナが仮に長引いたとしても、いずれ人の往来は再開せざるを得ないと予測されること。原油の需要自体も少なくともこの先10年は上昇傾向だったこと。以上から、いつかは戻るというプランをもって買いました。

この当時、エクソンモービルなどのエネルギー株を買うのはよくないという論調が目立ちました。テスラなど電気自動車の株価が伸びていたこともあり、オワコン扱いだったのです。

実際、私もハイテク株が上昇しているのを見て、釣られそうになったりエネルギー株の将来に対して悲観的に考えたりする場面もありましたが、人々が注目していない安いタイミングで買えたということです。

結果として、2年後にはインフレ進行もあり約30ドルから約110ドルまで上昇。底値から3倍近い利益が得られました。途中で保有株の半数を利益確定してしまいましたが、2023年時点ではまだ保有しています。

配当も継続して出ましたので、30ドル近辺で買うと配当利回りは10%と高いです。

最悪の材料が出たタイミングこそ、実は買い時なのです。ですが、それを目先の暴落チャートだけで見ていたら絶対に気づきません。

以上のような観点で、人々がよくないと感じている銘柄でも「これ以上悪くなりようがない」悪材料が出たり、会社や事業としては価値が変わっていない状態であれば、長期投資のよいチャンスになる可能性が高いです。ぜひ人とは違う道を歩み、天の邪鬼な投資家であってください。

児玉 一希
株式会社RES
代表取締役

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