地震に負けずサクラサク 高校合格発表 34校82学科に5621人

自分の受験番号を見つけて喜ぶ受験生 =高岡高

 富山県立高全日制の合格発表は15日行われ、34校82学科に5621人が合格した。各校で午後0時半に合格者の受験番号が掲示され、能登半島地震で被害に遭い、余震に悩まされるなど、苦境を乗り越えて合格を果たした受験生や家族らに笑顔が広がった。

 高岡高を受験した氷見市北部中の吉田昌生さんは自分の受験番号を見つけ「あった」と声を上げた。地震で心身に疲労がたまり、追い込み期に胃腸炎を発症。1月末まで勉強が手に付かなかった。回復後、両親にスマートフォンを預けて塾にこもり、休日は10時間、自習に励んだ。

 両親は、氷見市諏訪野の飲食店「麺処 よしだや」を営む。1月7日、地震で被災した市民を元気づけようと、店で炊き出しを行った際に手伝った。被災した住民や友達から「ありがとう」と声を掛けられ、「両親が一生懸命働く意味を実感した」と振り返る。「地震の経験から、後悔がない生活を送りたいと思うようになった。将来の夢はまだ分からないが、ゆくゆくは家業を継ぎたいと思う」と語った。

 富山中部高に合格した富大附属中の米山直宏さんは、1月1日は近所の避難所に避難した。「地震で動揺したけど、だんだん心を落ち着けて勉強できた。自分の力を出し切れた」と笑顔を見せた。

 県教委は同日、合格状況を発表した。最終倍率は1.01倍(前年1.02倍)と、記録が残る1999年度以降で最低となった。推薦入学の合格内定者918人を除く5188人の募集に対し、5248人が志願。受験者は5235人だった。5教科の総平均点は53.1点。欠員は20校37学科で計485人と、前年度の18校27学科387人より増え、99年度以降最大となった。

 県立高定時制の課程単位制前期第1次選抜に246人、県立特別支援学校高等部B日程第1次115人、幼稚部2人が合格した。

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