「フィリピンは挑発をやめ、情勢の複雑化を避けよ」 中国国防部

「フィリピンは挑発をやめ、情勢の複雑化を避けよ」 中国国防部

中国国防部の張暁剛報道官。(資料写真、北京=新華社配信)

 【新華社北京3月16日】中国国防部の張暁剛(ちょう・ぎょうごう)報道官は15日、中国海警局とフィリピン沿岸警備隊の艦船が中国南沙群島の仁愛礁付近の海域で再び衝突したと報じられたことについて、記者の質問に答えた。

 記者:報道によると、中国海警とフィリピン沿岸警備隊の艦船が最近、仁愛礁付近の海域で再び衝突した。統計によると、係争海域では今年に入ってから同様の摩擦が10件近く発生。フィリピンの軍と政府の高官は中国の行動が以前より攻撃的になっているとの見方を示し、米国は米比相互防衛条約に基づくフィリピンへの支持を改めて表明した。これについてどう考えるか。

 報道官:フィリピン船は5日、中国政府の許可なく、中国南沙群島の仁愛礁付近の海域に侵入し、不法に「座礁」させた軍艦に建築材料を含む物資を搬送しようと企て、中国海警船に意図的に衝突した。中国海警は法に基づき必要な取り締まり措置を取った。現場の対応は専門的かつ自制的、合法で理にかなっていた。われわれはフィリピンによる主権侵害と挑発行為に強烈な不満と断固たる反対を表明する。

 中国はいち早く事実を示す映像を公表した。真相は一目瞭然である。法を破り、主権を侵害したのはフィリピン側である。フィリピンの領土は「米西平和条約」(パリ条約)を含む一連の国際条約で規定され、仁愛礁を含む南沙島礁がフィリピン領内にないことをフィリピン側はよく承知している。フィリピンは仁愛礁に不法に「座礁」させた軍艦をいまだにえい航していないばかりか、修理、補強して中国の仁愛礁を永続的に占領しようと愚かにもたくらんでいる。中国の主権を著しく侵害するもので、完全に違法かつ無効であり、思い通りになることもあり得ない。

 約束を破り暴挙に出たのはフィリピン側である。フィリピンは中国の善意と自制を無視し、発言を何度も翻して、中国の仁愛礁付近の海域に繰り返し侵入し、挑発してもめ事を起こし「海上における衝突の予防のための国際規則に関する条約」(COLREG条約)に違反して危険な「衝突行為」をすることで、交渉と協議によって意見の相違をコントロールするという双方の共通認識に背き、海上の秩序と安全・安定を著しく破壊し、「南中国海各国行動宣言」の精神に大きく違反している。うそをついているのはフィリピン側で、生活物資の補給を名目に、建築資材をこっそり運び、記者をもぐり込ませて写真を撮り、同情を買おうと少数の軍関係者に犠牲者を演じさせた。これは自らを欺き、他人をも欺く行為で、芝居をいくら打っても信じる者はいない。域外の一部の大国は事実を無視し、フィリピンの肩を持ち、もめ事を引き起こし、地域情勢をかき乱そうと妄想しているが、フィリピンを駒にし、私利を図る行為は人心を得ず、平和を図り、発展を求める地域諸国の共通の意向に反していると指摘しなければならない。

 中国は仁愛礁を含む南沙群島とその周辺海域に対し、争う余地のない主権を有しており、自らの正当な権益を守る中国の決意と意思は揺るぎない。われわれはフィリピンに独断専行せず、係争の拡大化と情勢の複雑化を招く恐れのある挑発行為を直ちにやめるよう厳正に告げるとともに、域外の一部の国にもフィリピンによる主権侵害の危険な言動を容認、支持するのをやめ、南中国海をかき乱す者にならないよう忠告する。中国はあらゆる必要な措置を取り、領土主権と海洋権益を断固として守り、南中国海地域の平和と安定を断固として擁護する。

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