朝倉未来vs平本蓮を実現させた意味とは? 榊原信行CEOが「今の瞬間だから戦うに値する」と告白した若武者の加速的進化【超RIZIN.3】

3月16日、東京・六本木ヒルズアリーナで『Yogibo presents 超RIZIN.3』の緊急記者会見が行なわれ、7月28日に同大会で「朝倉未来vs平本蓮」の対戦が発表された。大勢のファンが詰めかけたなか、榊原信行CEOは「存在意義と生き様をかけた闘いになる」と断言。出席した朝倉、平本の両者は「負けたら引退」という衝撃発言も飛び出すなど、会場は異様な雰囲気に包まれたまま幕を閉じた。

会見後、榊原CEOは予定していなかった囲み取材に応じた。禁断とも言える対戦カード決定について「(平本は)RIZINの中でも存在感のある選手に成長していて、そこに実力が追い付いてきている状態。そもそもキック時代から素晴らしい戦績の選手であるんだけど、MMAファイターとしてアジャストできている」と評し、「今の瞬間だから、2人が戦うに値すると判断しました」と話した。

会見中は激しい舌戦が繰り広げられた。「未来は(平本を)イージーな相手と思っていながらも、しっかり準備はしてくるはず。どっちにしろ両選手に4か月の時間が与えられているので、最高の状態でこの対戦が見られると思う」と語り、話題性の大きい対戦カードに自信を示した。

両雄から突然飛び出した「負けたら引退する」という発言については「別に引退しなくてもいいんじゃないの?」と述べ、困惑した表情を浮かべたものの、「未来からすると、このタイミングで引退をするっていうのは、僕は腹落ちがする」と振り返り、RIZINを牽引してきたスターファイターの引退宣言に理解を示した。
とはいえ、2人の対戦には時期尚早だという点も否定できない。それは、明らかな実績差である。

31歳の朝倉は2012年にMMAデビューし、これまでの戦績は22戦17勝(8KO)4敗。直近では昨年7月の『超RIZIN.2』のフェザー級王座決定戦でヴガール・ケラモフ(アゼルバイジャン)に1ラウンド一本負け。そして同11月の『FIGHT CLUB』ではキックルールでYA-MANに1ラウンドKO負けで連敗中だが、やはりMMAでの経験は豊富。

一方の平本は20年にMMAデビューを果たし、6戦3勝3敗。昨年の大晦日決戦『RIZIN.45』では朝倉をKOで粉砕したYA-MANと対戦し、闘争心剝き出しのパンチを応酬しあうほどの死闘を演じた(結果は平本が判定勝ち)。25歳の若武者は成長の伸びしろ十分だが、やはりMMAファイターとしての経験値は朝倉の方が圧倒的に分がある。

榊原CEOもその部分を十分に認識したうえで、「平本蓮のMMAファイターとしての力量は、昨年大晦日のYA-MAN戦だけでは判断できないけど進化している」と評し、4か月での上積みに期待を寄せている。

ビッグカード以外の選定も同時に進めていることを示唆しており、「出し惜しみせず、今のRIZINが提供できるすべてを出したい」と意気込んだ同CEO。互いの格闘人生を懸けた闘いの結末や如何に――。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

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