鹿島に9年ぶりの敗戦でリーグ3連敗の川崎に何が起こっているのか?指揮官や家長昭博、小林悠、脇坂泰斗らに訊いた課題と復調への鍵

[J1第4節]鹿島 2-1 川崎/3月17日/県立カシマサッカースタジアム

リーグで2連敗中の川崎は、4節で鹿島とアウェーで対戦。前半にマルシーニョのゴールで先制したが、後半立ち上がりに連続失点し、75分にはマルシーニョが2枚目のイエローカードで退場。1-2で敗れ、苦しい3連敗となった。さらに鹿島には9年ぶりの敗戦という悔しい結果を喫した。

前節同様に4-3-3のシステムで、本来はボランチの橘田健人を右SBに入れ、“偽のSB化”でポゼッション力を高めようとしたが、序盤から鹿島の激しい守備の前にミスが重なった。

鬼木達監督はこう試合を振り返る。

「勝てなかったこと、または先制していたので少なくとも勝点を拾って帰らなくてはいけないゲームだったと思います。一番残念に思うのは、自分たちの戦い方を最後までできなかったこと。相手のサッカーと戦ってしまった、自分たちのゲームに持っていけなかったところが一番悔やまれます。

メンタルのところと言いますか気持ちのところで、何回取られてもマイボールにするとか、相手の強い高さのところで勝負するのではなくそういうところをしっかりやっていかなくてはいけないと思います。

何回かボールを引っかけられた、そういうのもあると思いますし、ロングボールの、相手のキックに対する回収にパワーを使ったというところもあると思いますが、やっぱりマイボールになった時に判断の遅れと言いますか、ひとつ外せればオープンになるシーンはありましたが、いろんな場面で圧を感じて、蹴ってしまったり、ズレてしまったり、FKひとつをとっても、前半から随分遠いところからセットしていましたが、それを含めてもっと動かさないといけないシーンだったと思います。このスタジアムの圧に押されたのかなと感じます。

ビルドアップというよりは、ボールを受けるほうと出すほうのところを強気にやれるかどうかだと思います。もちろん形は必要だと考えて、取り組んでいるところはありますが、何よりそれだけではなくて、今までやってきたことの積み上げだと思いますので、一喜一憂せずにやっていかなくてはいけないと思います。そこは自分が覚悟を持って積み上げていくところだと思います」

【動画】川崎の先制弾&鹿島・鈴木の逆転弾!!
今季からキャプテンに就任した生え抜きの脇坂泰斗は以前の練習後に「より一つひとつの技術にこだわらなくてはいけない」と呼びかけていたが、鹿島戦では相手の逆を取るトラップやパスを示せたシーンは限られ、川崎らしい戦い方を見せられなかったのが何より気になる部分であった。

さらに、鬼木体制で培ってきたはずの、“球際で身体を張る面”や“ゴール前での粘り強い対応”を欠いたのも、今後への不安を掻き立てる。

チームの顔である家長昭博は「力がないに尽きると思います」と端的に言葉を紡いだ。

「いろんなやり方、戦術、戦い方があっても、やるのは僕ら。僕らに力がないと勝点を積み上げられないと思いますし、僕もそうですが、負けているのは個人個人だと思うので、そこは受け止めないといけないです」

長年チームを牽引してきた小林悠も「鹿島のアウェーで、すごい応援のあるなかで、バチバチくるなかでも、やっぱり敵がいても出していかないと。そこがフロンターレのサッカーだと思いますし、敵に付かれていると出せないとか、そこのみんなの目を変えていかないと、付かれていると出せないでは、なかなか前に進んでいけない。受けるほうもそうですし、もう一回、当てて入っていくというところを見つめ直してやっていかなくちゃいけないと思います」と語る。

主将の脇坂は改善点をこう口にした。

「やっぱり結果が出ていないので、結果につなげるために一つひとつの練習であったり、コミュニケーションひとつも妥協せずに細かいことも言い合うとか、気になったことを言うとかそういうことが大事だと思うので、そういうことを促していきたいです。

このままズルズルいってしまうと目指しているリーグ制覇から遠ざかってしまうので、積み重ねも大事ですが気持ちだったり、意思疎通だったり、一人ひとりの意識で変わるところはあるはずなので、そこは妥協せずにやっていきたいです。

そこにプラスしてチームとして合わせていくところ。個人の良さだったり、それぞれ補えるところはチームとして考えていく必要があるので、その両方だと感じます。1足す1ではなく、掛け算になるようなサッカーを構築できれば良いかなと考えています」

そして指揮官も今オフに多くの選手が入れ替わったチームの現状を踏まえながら、今後へ目を向ける。

「今は積み上げていく段階だと思っています。そこのところを自分もそうですが、怖がらずにやっていかなくちゃいけない。

ただ、勝ち負けのこだわりを一番持ちながらやってきていますので、簡単に負けてはいけない。少なくともアウェーの地でも難しいゲームになっても引き分けにもっていかなくちゃいけない。退場者が出ようがなんだろうが、そういう意地みたいなものは今後持っていかなくちゃいけないと思います。サッカーのところはひとつずつ、キャラクターのところはありますので、そこを生かしながらやっていきたいです」

川崎は果たしてここから力強く立ち上がり、新時代を築くことができるのか。クラブとして意地の見せどころである。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

© 日本スポーツ企画出版社