「左足の使い方はメッシを彷彿とさせる」ELで奮闘したフライブルク堂安律を英国人記者はどう見た?「より完成度の高いチームであれば…」【現地発】

3月14日、私はロンドン・スタジアムで開催された、ヨーロッパリーグのラウンド16第2レグ・ウェストハム対フライブルクを取材した。

フライブルクの注目はもちろん、堂安律だ。イングランドのサッカーファンなら、この日本代表MFをブンデスリーガでの活躍よりも、2022年のカタール・ワールドカップでのドイツ戦とスペイン戦のゴールで知っている人が多いだろう。ワールドカップの大舞台で優勝候補の2チームを相手に得点したのだから、いつまでも記憶に残り続けているはずだ。

そして近年、欧州のクラブやファンたちは、ブライトンでの三笘薫の成功を見て、ヨーロッパのトップレベルで日本人選手は成功できると考えている。堂安もその一人で、これまで欧州のリーグで活躍してきた歴代のトリッキーな日本人ウインガーの系譜に連なる選手のようだ。

【動画】「ナイスアシスト」「素晴らしい」など反響!堂安律のピンポイントクロス
しかし今回のウェストハム戦で、堂安は右サイドで対峙したプレミアリーグの経験豊富なディフェンダーであるアーロン・クレスウェルに苦戦を強いられていた。積極的に動き、ボールを欲しがっていたが、チームメイトたちはなかなか彼を見つけられていなかった。

また、何をすべきかを考えすぎていたのか、迷っているような場面もあった。守備では、3失点目のシーンではマークをおろそかにし、クレスウェルをフリーにしてゴールを許してしまった。

それでも堂安がボールを持った時の左足のアウトサイドの使い方は印象的で、リオネル・メッシを彷彿とさせた。多くはなかったフライブルクの攻撃的なプレーのほとんどに関与していた。

結局、堂安はフル出場を果たしたものの、フライブルクは大量5失点を喫し、2戦合計1-5で敗れた。

25歳のレフティは本来のパフォーマンスを出し切れていなかった印象だ。彼が他のクラブへの移籍を考えているかは分からないが、より良いチームメイトに恵まれ、完成度の高いチームであれば、彼のプレーはより活かされるに違いない。

文●スティーブ・マッケンジー(サッカーダイジェスト・ヨーロッパ)

著者プロフィール
スティーブ・マッケンジー/1968年6月7日、ロンドン生まれ。ウェストハムとサウサンプトンのユースでプレー経験がある。とりわけウェストハムへの思い入れが強く、ユース時代からのサポーター。スコットランド代表のファンでもある。大学時代はサッカーの奨学生として米国で学び、1989年のNCAA(全米大学体育協会)主催の大会で優勝した。現在はエディターとして幅広く活動。05年には『サッカーダイジェスト』の英語版を英国で出版した。

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