川崎サポと恩師への大きな感謝を胸に。鹿島の知念慶として誰よりも喜んだ古巣からの勝利

[J1第4節]鹿島 2-1 川崎/3月17日/県立カシマサッカースタジアム

鹿島が川崎に9年ぶりの勝利を掴んだ一戦、誰よりも喜びを噛みしめる男がいた。

本来はストライカーながら、今季はボランチとして中盤の強度アップに貢献している知念慶である。

知念と言えば、愛知学院大から2017年に川崎に入団し、2022年まで5シーズンに渡ってプレー(2020年は大分へレンタル移籍)。17年に就任した鬼木達監督の下で研鑽を積み、昨季、鹿島への移籍を決断していた。

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そんな思い入れの強い古巣との一戦、知念は佐野海舟とボランチを組み、勝手知ったる川崎の選手たちと激しくマッチアップ。2-1での勝利に貢献し、「やっぱりチームで誰よりも嬉しかったですし、自信にもつながったので、継続していきたいです」と想いを口にした。

そして試合後には改めて川崎のサポーターへ挨拶、今は鹿島のために戦う男であるが、改めて古巣の素晴らしさも再確認した。

「本当に移籍した選手なのに、いまだにこうやって温かく応援してくれて、その想いはすごく伝わってきました。今日も(自分の)ユニホームを持ってきてくれている人やゲーフラを掲げてくれている人たちもいて、グッとくるものがあって。フロンターレというチームは温かいですし、選手を大事にしてくれる。本当に嬉しいですし、改めて素晴らしいサポーター、素晴らしいチームだなと感じました。

ただ勝負事ではあるので。今日は勝って成長した姿を見せられたというのもひとつ嬉しかったです」

また鬼木監督への想いもこう明かしてくれた。

「やっぱりオニさんもボランチをやっていたし、自分のことを一番知ってくれている監督なので、ちょっとは成長した姿を見せられたなら良かったですね」

その恩師とは試合後に挨拶ができなかったとし、「話したいことは一杯あるんです。でも今日は結果がこうなったので、ちょっと話しづらいところもあって、そのまま帰ろうかな」と、少し寂しそうな表情も浮かべ、ミックスゾーンを後にした。

しかし、直後には知念の姿を見つけた鬼木監督がバスから降り、無事に再会。ふたりの会話を聞くことはできなかったが、柔和な表情が印象的だった。

奇しくも、この日は知念の29歳の誕生日。忘れられない一戦になったはずだ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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