子ども食堂数 長崎県は伸び悩み 人口10万人当たりで最下位 離島の多さ影響か

長崎大生らが中心となって開いている「くじら食堂」。学生が地域の子どもや母親らと交流する拠点になっている=2023年10月21日、長崎市千歳町、インマヌエル長崎キリスト教会

 NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」(湯浅誠理事長、東京)がまとめた2023年の全国の子ども食堂数は、過去最多の9132カ所に上った。このうち長崎県は48カ所で45位。10万人当たりの食堂数は3.68カ所で最下位だった。識者は「離島や半島部が多く、食堂運営のノウハウが伝わりにくいのではないか」と分析する。
 むすびえは2018年から毎年、子ども食堂を支える地域ネットワーク団体と共同で調査。調査指標は▽箇所数▽子ども食堂が1カ所以上ある小学校区の比率を示す充足率(校区実施率)▽人口10万人当たりの食堂数(人口比)▽前年からの増加率-の4項目。

調査指標別都道府県順位

 今回は23年9~11月に実施。全国の食堂数は18年の調査開始時から約4倍となり、公立中学校数(9296カ所)にほぼ並んだ。充足率は初めて3割を超え、人口比は沖縄県がトップの21.27カ所。22~23年の増加率は石川県(91.30%増)が1位だった。
 本県で子ども食堂がある自治体は長崎、佐世保両市のほか、島原、諫早、大村、対馬、西海各市など。本県の公立小・義務教育学校は23年5月1日時点で313校。充足率は13.10%で46位、22~23年の増加率は14.29%(6カ所増)の40位だった。箇所数や人口比と同様、全国最下位レベルだった。
 長崎大教育学部の小西祐馬准教授は「島が全国一多く、本土地区も島原半島から平戸市までの距離が遠い。そのため開設数が伸び悩んでいるのではないだろうか」と推測。「全国で5番目に島が多い沖縄県は充足率、人口比いずれも1位。(本県の低迷は)島の多さだけが要因ではないだろう」ともみる。
 さらに小西准教授は「群馬県は県社会福祉協議会内、北九州市は子育て支援課内に地域ネットワーク団体の事務局を設けている。長崎県も主体的に考える行政職員がほしい」と提言。本県での子ども食堂の広がりに向けて、行政の積極関与の必要性を挙げた。

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