致死率3割「人食いバクテリア」患者 既に過去最多に並ぶ13人 今年の群馬県内 国や県、注意を呼びかけ 

 手足の急速な壊死(えし)や多臓器不全を引き起こし、「人食いバクテリア」との異名を持つ「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」(劇症型溶連菌感染症)の群馬県内の患者数は今年、3月10日時点で13人に上り、年間で過去最多だった2022年に並んだことが、県のまとめで分かった。同感染症は突発的に発症し、致死率が3割とも言われる。例年にない増加ペースで推移し、全国的にも急増しているとして、県や厚生労働省が注意を呼びかけている。

 県衛生環境研究所によると、同感染症は県内の医療機関で確認された全数が報告される。感染症法による届け出が始まった1999年以降、県内は2021年まで毎年ほとんどが10人未満だったが、22年13人、23年11人と増加傾向にあった。

 主な病原体は、子どもに多い咽頭炎の原因となる「A群溶血性レンサ球菌」(溶連菌)だが、劇症型は30代以上に多く見られる。体の痛みや発熱などの症状から、急激に多臓器不全や手足などの壊死に進行する。劇症型となるメカニズムは分かっていない。

 今年はさらなる増加が懸念されており、県感染症・がん疾病対策課は「接触や飛沫(ひまつ)で感染するので、手洗いなどの基本的な感染対策をしてほしい」と呼びかけている。

 全国の患者数も増加傾向で、23年は速報値で過去最多となる941人だった。それまでの最多は19年の894人(確定値)。

 子どもに多い溶連菌による咽頭炎は、県内53カ所の定点医療機関(小児科)から4~10日に報告された患者数が1機関当たり4.04人だった。昨年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5類となって以降、例年より多い状態が続いている。

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