コロナ貸し付け 長崎県内の3703件が償還始まらず 返答もなし…県社協「相談を」

 新型コロナウイルスの影響で収入が減った人を対象にした国の特例貸し付けの償還(返済)が昨年1月に始まって1年たつが、対象の長崎県内2万783件(69億7121万8千円)のうち、免除分などを除いた3703件の償還が2月末時点で始まっていない。対象者から返答がなく、県社会福祉協議会は「免除対象の可能性や猶予の制度もあるので相談してほしい」と呼びかけている。
 県社協によると、特例貸し付けは上限20万円の「緊急小口資金」と、1回最大60万円を融資する「総合支援資金」の2種類。県内の貸付件数は計2万8414件(107億2553万8千円)に上る。
 昨年1月に償還が始まったのは2022年3月末までの申請分。今年2月末時点で償還を完了したのは48.7%に当たる1万114件(うち全額免除9592件)。償還中が5903件、猶予は941件。一部免除で償還中が122件。
 返答がない借受人については市町社協に協力を依頼し、自宅の訪問調査を実施。22年12月末時点の約7千件に比べるとほぼ半減したが、電話に出ず、訪問しても不在のケースが多いという。
 「借受人と世帯主が住民税非課税」などは償還が免除される。病気や失業などで償還が難しい場合は原則1年間猶予する制度があり、延滞金の発生を遅らせることができる。県社協や市町社協が自立相談支援機関などと連携し、生活再建に向け家計の収支改善や就労面でのフォローアップ支援もしている。
 県社協新型コロナ特例貸付対策室は「コロナ禍で減った売り上げが戻らなかったり、物価高で生活がより苦しくなったりするケースもある。引き続き生活再建に向けてサポートしていきたい」としている。
 問い合わせは同室(電095.865.8615、平日午前9時~午後5時半)。

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