『Apex』北米大会で選手のPCがハッキング被害に 不正プログラムを起動される

バトルロイヤルゲーム『Apex Legends』の世界大会「Apex Legends Global Series(ALGS)」にて、選手のPCがハックされ、何者かによってチート(不正なプログラム)を付与されてしまうという事件が起きた。

事件が起きたのは、日本時間で3月18日に行われていた北米の大会。2024年初となる国際大会「Apex Legends Global Series: 2024 Split 1 Playoffs」の出場権をかけた北米地域(North American Region)の予選だった。

この件に関して、『Apex Legends』公式は「競争上の完全性が損なわれている」とし、北米予選の決勝を延期すると発表した。

名門チームを狙った犯行に選手も驚愕

今回被害を受けたのは、チーム「DarkZero」に所属するGenburtenさん。

同チームは、2023年の世界大会「Apex Legends Global Series: Split 2 Playoffs」や2022年の「Apex Legends Global Series: 2022 Championship」で優勝を果たしている強豪中の強豪だ。

Genburtenさんがプレイしていると、突如画面に謎の設定画面が開かれ、チートプログラムが起動。画面には本来映らないはずの他のプレイヤーの位置などが映ってしまっていた。

困惑したGenburtenさんは、「ハックされた」「他の選手の位置が見えてしまっている」とチームメイトに報告し、急いでゲームから退出。

その後、「DarkZero」は2名で戦わざるをえなくなった。

前年王者のチーム「TSM」も被害に

また、「Apex Legends Global Series: 2023 Championship」などで世界王者となっている、チーム「TSM」も同様の被害に。

同チームに所属するImperialHalさんは、試合中、突如「チートが使用されている」「Aimbotになってしまっている」と発言。正常なプレイができなくなっていた。

業界からの追放も、チート使用への重い罰則

今回、Genburtenさんの画面に映っていた設定には、「AUTO FIRE(自動射撃)」や「NO RECOILS(連射によるブレの軽減)」といった文言が見られた。

銃ごとに異なる射撃の反動(リコイル)を制御し、正確な射撃を行うのは、『Apex Legends』のようなFPSタイトルにおいて、重要な技術だ。

また、広大なマップの自由な場所に降り立ち、どこで敵に遭遇するかがわからないという『Apex』のゲーム性において、他プレイヤーの位置が見えるという状況は、根本のゲーム性を否定することになる。

だからこそ、e-Sportsにおいて、チートをはじめとする不正行為に対しては、非常に重い罰則が設けられている。

「ALGS」の公式ルール(外部リンク)では、一例として、賞金の返却、 「ALGS」と今後の大会の参加資格剥奪、競技者が利用するゲームアカウントの停止などが紹介。

また、実際にチートを使用したとなれば、ファンからの信用が失墜するほか、チームとの契約解除にもつながる。業界から追放され、収入すらも失ってしまえば、活動者としての生命が絶たれてしまうだろう。

悪意ある第三者によってチートを付与されてしまい、選手生命が絶たれるとなれば、競技に参加する選手が減っていってしまう可能性もある。

被害選手は対策を要求、国内外に余波が広がる

被害を受けたGenburtenさんは、『Apex Legends』を運営するエレクトロニック・アーツに向けて、アンチチートプログラム(チートプログラムを検知し、排除するためのソフトウェア)の向上を要求するポストを投稿。

日本国内でも、チーム「Crazy Raccoon」に所属するストリーマー・うるかさんが、「大会も配信もやるリスク跳ね上がって誰もできなくなりそうでさすがにやばい」と投稿。

国内外で余波が広がっている。

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