同じ日に「冬日」かつ「夏日」になる!?めまぐるしい春を乗り越えるコツを気象予報士が解説

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「冬日」とは最低気温が0℃未満の日、「夏日」は最高気温が25℃以上の日。

「冬日」は冬によくありそうな気温、「夏日」は夏ならほぼ当たり前という印象ですが、この2つが同時に起こり得るのが春です。

ちょっと信じられないような気温変化があり得てしまう春、ジェットコースターのような気温を乗り切るコツを、気象予報士・防災士・野菜ソムリエとして活躍する植松愛実さんに教えてもらいます。

「冬日」かつ「夏日」ってどういうこと?

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今から5年前の2019年春、埼玉県の鳩山町(はとやままち)で、朝の最低気温がマイナス0.3℃だったのに、日中の最高気温が25.2℃まで上がったことがありました。

マイナス0.3℃ということは最低気温が0℃未満なので、この日は鳩山町で「冬日」だったことになります。
一方で、最高気温は25℃以上になっているので、「夏日」でもあるわけです。

「冬日」は冬に、「夏日」は夏に本来ありそうなことなのに、これらが同時に起きてしまう…これには春特有の天気の特徴が関係しています。

春の「冷え込み」と「暑さ」を同時に…

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前述の鳩山町で「冬日」かつ「夏日」になった2019年4月5日、本州付近は南から高気圧に覆われていました。

前日から高気圧に覆われていたため、前日の夜から当日の朝にかけて穏やかに晴れていたわけですが、穏やかに晴れた夜は「放射冷却」といって、地面から熱がどんどん逃げて冷えやすくなります。

そのため関東や東海・北陸などかなり広い範囲で最低気温が0℃前後と、冷え込みました。

一方、このとき本州の北側の日本海には、低気圧がありました。北に低気圧、南に高気圧、という配置は「南高北低(なんこうほくてい)」と呼ばれ、南から暖気が流れ込みやすいパターン。

これによって日中は、春とは思えないくらい「暑く」なってしまったのです。

冬&夏はめずらしくない!?春の気温はジェットコースター

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今回、1日のうちに冬日と夏日を経験した例を挙げましたが、じつはこういった事例は(頻繁にあるわけではないものの)非常にめずらしいと言うほどでもありません。

つまり、朝に0℃くらいまで冷え込んだあと日中20℃を超えるような日は、春なら「まぁまぁあり得る」レベルなのです。

おまけに春は、日々の気温差もジェットコースター状態。真冬並みの寒さになった翌日に汗ばむ気温になることがあり、めまぐるしく変化します。

体の負担を減らして要注意な春を乗り切ろう

季節の変わり目に風邪をひく人が増えるのは、気温の変化で知らず知らずのうちに体に負担がかかり、本来働くはずの免疫が機能していないパターンが多いです。

一般に、気温が一気に5℃くらい変わると体に負担がかかると言われていますが、春の気温変化が5℃程度ではすまないですよね。その負担を減らしてあげることが、体調を維持するための大事な一歩。

外に出る時間が長い日は、多少面倒でも調節できる服装を心がけて、また日中暑いくらいに感じる日でも夜寝るときは寝冷え対策をするなど、日々少しずつ気をつけることでやっかいな春の気温変化を乗り切っていきましょう。

■執筆/植松愛実さん
気象予報士と出張料理人の両面で活動中。気象・防災に関するヒントのほか、野菜ソムリエ・食育インストラクターとしておいしい食材のおいしい食べ方を発信中。インスタグラムは@megumi_kitchen_and_atelier。

編集/サンキュ!編集部

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