エステバン・グエリエリが世界戦にカムバック。新興ゴート・レーシングのFL5シビックRで参戦へ/TCR

 今年度の2024年に向け、新たにFIAステータス認証を取得した創設2年目のFIA TCRワールドツアーだが、スペイン発のチームとしてツアーへの挑戦を決めたぺぺ・オリオラ率いる新興GOAT Racing(ゴート・レーシング)が最後のドライバーを発表。アルゼンチン出身のエステバン・グエリエリが新年度のラインアップを完成させ、すでに起用が発表されていたイタリア出身のティーンエイジャー、マルコ・ブティとともにFL5型ホンダ・シビック・タイプR TCRのステアリングを握る。

「こうしてゴート・レーシングとJASモータースポーツを通じて、改めてホンダ・レーシングのファミリーに戻ることができて素晴らしい気分だ」と、まずはチーム加入と世界戦カムバックへの喜びを語ったグエリエリ。

 長らくホンダ陣営のドライバーとして活躍を演じ、かつてのWTCC世界ツーリングカー選手権やWTCR世界ツーリングカー・カップでもイタリアのJASモータースポーツが製作したホンダ車に乗り続けてきたグエリエリだが、昨季はトヨタ・カローラGRS TCRをドライブしてTCRサウスアメリカ・シリーズにスポットで出場し、母国開催でTCRワールドツアー併催のエル・ピナール戦ではクラス優勝を挙げていた。

「でも僕がツーリングカーの世界で最大の成功を収めたのはホンダだった。そのうえで間違いなく未完の仕事があり、世界的なTCRタイトルを獲得したいという願望が僕のなかで非常に強く燃えているんだ」と、WEC世界耐久選手権ではハイパーカーもドライブしたグエリエリ。

 そんなグエリエリは例年、世界戦のタイトル候補であり続け、総合2位に終わった2019年以降は同郷のネストール・ジロラミとともに“アルゼンチン・エクスプレス”を結成。その盟友は数日前にヒョンデ・モータースポーツ・カスタマーレーシング部門との契約を発表し、今季はBRCヒョンデNスクアドラ・コルセでエラントラN TCRをドライブすることが決まっている。

WTCC時代からともにトラックで競った間柄でもあるぺぺ・オリオラ(右)とエステバン・グエリエリ
昨季はトヨタ・カローラGRS TCRをドライブしてTCRサウスアメリカ・シリーズにスポットで出場した

■グエリエリのホンダ復帰に各方面から歓迎

 グエリエリが乗るFL5シビックRは、そのジロラミが契約ドライバーとして開発を担当したモデルであり、数奇な運命を経て旧友が仕立てた1台で直接対決のシーズンを迎える。

「このゴート・レーシングは新しいチームだが、大きな野心とプロジェクトに関わる人々の質の高さがある。僕自身、それが先週のテストではっきりと分かったんだ。シーズンが始まるのが待ち切れないし、この機会にとても感謝しているよ」

 そんなグエリエリの起用に際し、チームマネージャーを務めるオリオラも歓迎の意を示した。

「チームにエステバンがいることは、このゴート・レーシングが世界最高のチームと対戦できる組織を構築するべく、あらゆるリソースを投入していることを示している」とWTCC時代からともにトラックで競った間柄でもあるオリオラ。

「エステバンは彼の豊富な経験をチームにもたらし、それは我々が成長し、チームとともに前進するという非常に重要な一歩を踏み出すのに役立つはずさ」

 同じく、ミラノ近郊に拠点を構えるJASモータースポーツのTCRプロジェクトリーダー、マッズ・フィッシャーも、グエリエリの加入は「素晴らしいニュース」だと付け加える。

「史上もっとも成功したTCRドライバーのひとりであるエステバンが、JAS製の車両で世界トップクラスのツーリングカー・シリーズにカムバックし、そのステアリングを握ることは素晴らしいニュースだ」と続けたフィッシャー。

「新しいチームが、このプログラムのために彼のようなドライバーを確保するべくこれほどの努力を重ねたという事実は、彼らの野心だけでなく、彼らが期待するパフォーマンスのレベルも示しているね」

同郷のネストール・ジロラミ(左)が開発したモデルで、かつての僚友と対峙することになる
JASモータースポーツのTCRプロジェクトリーダー、マッズ・フィッシャーも、グエリエリ加入は「素晴らしいニュース」と歓迎の意を示す

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