倒壊家屋やブロック塀、避難ルートを寸断 「沖縄も耐震化が必要」 琉球大学島嶼防災研究センター 能登半島地震の緊急報告会

緊急報告会の様子=18日、西原町の琉球大

 琉球大学島嶼(しょ)防災研究センターは18日、1月に発生した能登半島地震に関する緊急報告会を開いた。同センターは地震の被害や特徴を調査し、県内の防災などに生かす目的で2月29日から3月3日まで被害調査団を派遣し、県への提言をまとめた。

 報告会で理学部の中村衛教授は、津波からの避難について報告した。被災地域では津波の避難訓練が定期的に実施されていたが、避難経路とされていた道路ががれきなどで寸断されていた事例を紹介。「津波からの避難ルートにある家屋やブロック塀などの耐震化が必要だ」と訴えた。

 また、南北に長い沖縄本島は能登半島と地形が似ており、被災後に道路が寸断された場合、断水や物資の輸送などで影響が長期化する可能性を指摘。「断水が2、3カ月継続する可能性がある」と警鐘を鳴らした。

 工学部の中田幸造教授は、県内では耐震性に問題のある古いブロック塀が多く存在すると説明。「倒壊すると人的被害だけでなく避難の妨げ、緊急車両の通行障害となる可能性が高い」とし、耐震化を進める必要性を強調した。

 また県内の建築物には1階部分に壁を設けず、駐車場などとして利用する「ピロティ形式」が多いことに触れ「阪神・淡路大震災ではピロティ形式の建物の被害率が一般建物に比べて高かった。耐震診断と耐震改修をさらに進めていく必要がある」と述べた。

 最後に同センターの県への提言として①重要インフラの耐震化と津波対策の再点検②期間重要インフラが使用不可能な場合の想定と対策③高齢化・過疎化社会における耐震診断と耐震補強の進め方について、さまざまな視点からの考察④被災者(エッセンシャルワーカーを含む)、県外からの支援者の生活環境の事前検討ーを挙げた。

報告会で登壇する理学部の中村衛教授=18日、西原町の琉球大

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