プーチン氏再選、西側は非難 中印など祝意 地政学的な分断

Matthias Williams John Irish

[ロンドン 18日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領が大統領選で勝利したことについて、西側諸国が非民主主義的と非難する一方、中国、インド、北朝鮮、イランなどは祝意を示すなど反応が分かれ、ロシアによるウクライナ全面侵攻を受けた地政学的な分断が改めて示された。

<西側とウクライナ、「選挙に正当性ない」と非難>

欧州連合(EU)外相はこの日にブリュッセルで開かれている会議で、ロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏が2月に獄死したことを巡り、ロシアに対する制裁措置で合意する見通し。EU外相からロシア大統領選の正当性を疑問視する発言が相次いだ。

ドイツのベーアボック外相は会議の冒頭、「選択の余地のない選挙だった」と述べた。フランスのセジュルネ外相は、ロシアがウクライナでの戦争を「特別軍事作戦」と呼んでいることを引用し、フランス政府はロシアの「特別選挙作戦」を留意していると指摘。フランス外務省は「自由で多元的で民主的な選挙の条件は満たされていない」との見解を示した。

このほか、英国のキャメロン外相は、ロシアにおける「弾圧の深さ」が浮き彫りになったとし、「プーチン大統領は政敵を排除し、報道機関をコントロールし、自らを(選挙の)勝者とする。これは民主主義ではない」と語った。

英仏独3カ国は、ロシアが一方的に「併合」したと主張するウクライナの地域でも大統領選を行ったことを非難している。

ウクライナのゼレンスキー大統領も、ロシアの選挙には正当性がないと非難。「プーチン氏が権力を求め、永遠に支配するためにあらゆることを行っていることは、世界中の誰にとっても明らかだ」と述べた。

米ホワイトハウス報道官は17日、ロシアの選挙は「明らかに自由でも公正でもない」と述べた。バイデン大統領は今のところコメントしていない。

<中印、北朝鮮、イランは祝意>

西側諸国とは対照的に、中印と北朝鮮などはプーチン氏の勝利に祝意を表明。中国国営の新華社によると、習近平国家主席はプーチン氏に祝意を伝えるとともに、中国はロシアとのパートナーシップを促進するため、緊密なコミュニケーションを維持する考えを表明。

インドのモディ首相もプーチン氏に祝意を送った上で、ロシアとの「特別な戦略的パートナーシップ」の強化に前向きな姿勢を示した。

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長とイランのライシ大統領もプーチン氏に祝意を表明した上で、ロシアとの二国間関係の一段の拡大を望むと述べた。

このほか、アフリカではプーチン氏の再選はブルキナファソ、マリ、ニジェールの強化につながるとの新聞報道も散見。サヘル地域にあるこれら3カ国ではクーデター発生後にロシアとの関係が強化されている。

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