傾斜住宅補修、国が支援 首相、知事に新制度示唆

  ●液状化被害で、22日にも具体策

 岸田文雄首相は18日、官邸で富山県の新田八朗知事と面会し、能登半島地震によって広域で液状化被害が発生していることから、傾斜した住宅の補修に対しても国として新たな支援策を講じる考えを示唆した。新田知事は既存の支援策では復旧までに時間がかかり、地域からの人口流出につながるとし「早急な生活再建のための支援が必要」と訴えた。政府は22日に液状化対策の具体的な支援策を取りまとめる。

 新田知事は既存の支援策では地域の合意形成などに時間を要するとして対応を求めた。首相は「面的な地盤改良のみならず、傾斜した住宅についても支援策を強化する」と応じた。県によると、現状は個人が住宅の傾きを補修する場合、国からの支援はなく、県単独で支援を行う。関係者によると、個人が行う補修についても、国が支援する方向で調整が進んでいる。

 県では液状化対策として、国の交付金を活用した耐震化促進事業を拡充し、住宅の建て替えや改修に関し1世帯当たり最大120万円を支援する制度を設ける方針を示している。首相は面会で住宅被害に関し「支援策にスピード感を持って取り組む。財政的にもしっかり措置する」と語った。

  ●北陸応援割延長「状況見て検討」

 新田知事は16日に始まった観光支援策「北陸応援割」についても期間延長を要請。首相は「応援割は大変盛況だと聞いている」とし、「状況を見ながら今後について考えたい」と述べ、対応を検討していく方針を示した。

 北陸応援割は新潟、富山、石川、福井の4県での宿泊代金が最大50%引きとなる支援策で、4月26日の宿泊分までが対象。新田知事は富山分として10億4千万円の予算枠が割り当てられたとし「あっという間に上限に達した旅館も続出している。早晩、予算が底を突く」と指摘。「冷え込んだ北陸の観光需要を喚起するため、期間延長や予算拡充をお願いしたい」と求めた。

 首相は「官民連携して北陸観光キャンペーンや誘客の取り組みを進めていく」と強調した。

 新田知事は林芳正官房長官とも面会し、要望書を手渡した。堂故茂国土交通副大臣、田畑裕明、上田英俊の両衆院議員が同席した。

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