歯ごたえたっぷり!この”超LS感”たるや…コブラ「ダークスピード LSドライバー」

3モデル中、最も低い重心位置。低スピンで速い初速を生む「DARKSPEED LSドライバー」(撮影/有原裕晶)

コブラの最新作「DARKSPEED(ダークスピード)」シリーズが発売された。浅重心のロースピンモデル「DARKSPEED(ダークスピード)LS ドライバー」、スタンダードモデル「DARKSPEED(ダークスピード)X ドライバー」、コブラ史上最大級の慣性モーメント「DARKSPEED(ダークスピード)MAX ドライバー」の3機種がラインアップ。前作のテクノロジーをよりアップデートさせたというが、果たしてその全貌はいかに。まずはツアープロの使用率が最も高い「DARKSPEED LS」を取り上げる。機種の特徴をギア知識が豊富なミタさんが解説。アスリートゴルファーのコウタロウ(HS50m/s)とベテランゴルファーのシオさん(HS40m/s)が試打を行い、ヘッド性能を探った。

ウエート調整の幅が広がり“弾道カスタマイズ”が進化

流線形のエアロ形状がさらに進化し空気抵抗を軽減。スピード感がUPした(撮影/有原裕晶)

【ミタさん】
3モデルの中で最も操作性が高く、低スピン弾道が打ちやすい「DARKSPEED LS」です。前作「AEROJET(エアロジェット)LS ドライバー」は、ソール部のフェース寄りに2箇所のウエートが配置されておりましたが、今作ではヘッド後方にウエートが追加され、弾道のカスタマイズ範囲が広がりました。ヘッドのシェイプも改良されており、前作よりも空気抵抗が軽減され、ゴルファーのヘッドスピード(以下HS)が最大化する形状となっています。

【コウタロウ】
相変わらず飛ばすことに特化したモデルですね。HSが上がるヘッドというのは楽しみ。ヘッド全体のカラーリングがマットブラックになり、見た目は今までのドライバーの中でいちばん好きかもしれない。

【ミタさん】
コブラは毎年テーマカラーが変わって楽しいですよね。前作の「エアロジェット」シリーズはブラックボディの中にどことなくトリコロールカラーを意識していましたが、今作はマットブラック一色。前作「エアロジェット LS」や他社のロースピンモデルと比較しても浅めの重心設計で、“超”低スピンモデルのくくりで間違いないでしょう。

460ccながらツアーにインスパイアされた精悍なルックス(撮影/有原裕晶)

【シオさん】
ここまで真っ黒なヘッドは見たことがありませんね。男前でかっこいい。でも、精悍すぎて私のHSでは打つ前から不安しかありません。前作「エアロジェット LS」も相当な低スピンドライバーで、ライナー性のボールが多く、手に負えませんでした。

【ミタさん】
重心位置はとても浅く、左右慣性モーメントの値も4500gcm2前後。ですが、12gのウエートをヘッド後方部に配置すればだいぶやさしくなるそうです。実際にウエートを調整して変化を見てみましょうか。

【シオさん】
構えた印象は、ややオープンでディープフェース。460ccとは思えないほど小さく見えます。ツアープロや上級者が好みそうな顔だと思います。クラウンとフェースの色が一緒に見えるせいか一体感があり、ヘッド全体でターゲットに構えられます。

「DARKSPEED LSドライバー」試打データ

【シオさん】
まずウエートがヒールにある標準設定で試打しましたが、打ち出し角16.3度でスピン量は1,425rpmのプッシュスライス。数球打ちましたが、同じようなデータになりました。ただ、打感は私が好きなとても柔らかく吸い付くような感触があります。次にヘッド後方部へ12gのウエートを入れて試しましたが、打ち出し角は変わらず、スピン量が100rpm増えた程度。手強いことには変わらず、私では使いこなせる気がしませんでした。決してつかまりやすいモデルではなく、やはりHSの速いプロや上級者が使ってこそ良さが出るモデルな気がします。

【ミタさん】
クラブパス(インパクト前後のクラブ軌道)に対しフェースが開くプッシュスライスであれば、本来は打ち出しが増え、スピン量は多くなるはず。それでもこのスピン量というのは、ロースピンモデルならではの結果。仮にこの状態でつかまったとしても、スピン量が少なすぎてドロップボールが目立つでしょう。ウエートの入れ替えによる弾道の変化は垣間見えましたが、元々スピン量が少ないシオさんにはちょっと厳しいヘッドでしたね。次はコウタロウに打ってもらいましょうか。

LSはやっぱり”超”がつくほどの低スピン

ウエートはフェード配置がいちばん叩けたというコウタロウ(撮影/有原裕晶)

【コウタロウ】
構えた印象は、「最高」の一言。左に行かない雰囲気がしっかりと伝わってきます。ただ、先ほどシオさんが言っていたクラウンとフェースの一体感が、フェースセンターの位置を把握しづらくしている気もします。フェース面の情報がもう少し視覚で伝わってくると、ボクは安心できますね。

【ミタさん】
好きなフェースの見え方ってありますよね。同じ理由かは分かりませんが、契約選手のリッキー・ファウラーは同モデルのフェース面に縦の白いラインを入れていました。

【コウタロウ】
ああ、やっぱり。なんか描きたくなる理由がわかる。

【ミタさん】
打ってみて印象はどうですか?

【コウタロウ】
相変わらず初速性能は非常に高いですね。前作の「エアロジェット LS」よりさらに低スピンになった気がする。あと、空気抵抗が軽減されているからなのか、とにかく振りやすい。やっぱりこの空気を切り裂くような振り感は、特大慣性モーメントヘッドにはない良さですよね。

【ミタさん】
慣性モーメントの値よりも空気抵抗の軽減を優先したヘッド形状なので、コウタロウのHSならより振りやすく感じるかもしれません。それではウエート配置を変更して弾道の変化をみてみましょう。

“味変”ならぬ“弾変”を感じられるウエート配置変更

ウエートの調整で弾道の変化が感じられた(撮影/有原裕晶)

【コウタロウ】
ヒール側12gのウエート配置だと、打ち出し角12.9度でスピン量は1575rpm。低めの強いボールが打てますが、左右の曲がり幅が最も不安定。打点ブレに強いとはいえませんね。次にトウ側に12gのウエートを配置。フェードバイアスが一気に強まり、打ち出し方向が右へ安定。安心して叩きにいけました。パワーのあるフック打ちはこのフェード配置一択でしょうね。

【ミタさん】
後方12gのウエートを配置もやってもらいましたが、スピン量が300rpmほど増えて左右の安定感も出ていましたね。後方にウエートを持っていくと、対象ゴルファーはどのくらい広がりそうでしょうか?

【コウタロウ】
後方に12gは、寛容性もあり、芯が広くなったようなやさしさがとても感じられます。扱えるゴルファーは増えそうですが、それでもロースピンのコントロール系ヘッドの雰囲気は変わらないので、やっぱりドライバーがある程度上手いゴルファーが対象になる気がします。どのウエートポジションも弾道の変化は感じられましたが、総じて打ち出しの高さが取れないと厳しい。ですが、ハマればバカみたいに飛んでいく印象で、やっぱりコブラの「LS」はただもんじゃないっスね。

構えやすさ、かっこよさに高評価が並んだ

【ミタさん】
各メーカーのロースピンモデルと比べてもトップクラスでスピン量が少なく、パワーのある人は圧倒的な飛距離性能が体験できると思います。ミスはミスとしてしっかり弾道に現れやすいヘッドですが、ウエート配置以外にシャフトスリーブでロフトの調整も可能なので、理想的な弾道を見つけてほしい。前作「エアロジェット LS」よりも対象ゴルファーや使い方の幅は、間違いなく広がったモデルといえるでしょう。

■ 試打したクラブのスペック

左のシャフトはコウタロウが使用した「Tour AD for Cobra」、右はシオさんが使用した「Speeder NX for Cobra」

コブラ DARK SPEED LS ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:Tour AD for Cobra/Speeder NX for Cobra●硬さ:共にS

■ マイクラブ情報

シオさん:ピン G430 SFT ドライバー
●ロフト角:10.5度 ●シャフト:Regio Fomula MB+ 55 ●硬さ:S

コウタロウ:ヤマハ RMX VD/X ドライバー
●ロフト角:9.5度 ●シャフト:VENTUS TR RED 6 ●硬さ:X

© 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン