エヌビディア、旗艦AI半導体発表 30倍高速化で競合引き離しへ

Max A. Cherney Stephen Nellis

[サンノゼ(米カリフォルニア州) 18日 ロイター] - 米半導体大手エヌビディアは18日開幕した年次開発者会議「GTC2024」で、人工知能(AI)向け旗艦チップ「ブラックウェルB200」を発表した。従来製品より最大30倍高速という。

ジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)は、エヌビディア製品を使用する企業に対し開発者がAIモデルを販売しやすいよう設計された新たなソフトウエアツールも発表した。

同会議で発表される新たなチップやソフトウエアは、エヌビディアがAI機器販売で主導的地位を維持できるか判断する一助となる。

B200は同社の従来製品と同じサイズの2つのチップを1つにまとめたもので、トランジスタ数は2080億個と従来製品の800億個の2倍以上。

チャットボットからの回答を提供するようなタスクでは30倍高速だが、チャットボットを訓練するために膨大な量のデータを処理する際の性能については具体的な詳細を明らかにしなかった。価格の詳細にも言及しなかった。

全体としてこの日の発表は、過去12カ月で240%急騰したエヌビディアの株価をさらに押し上げる新たな材料を提供するには至らなかった。

プラム・ファンズのトム・プラムCEO兼ポートフォリオマネジャーは、B200チップはサプライズではなかったと指摘した。

その上で、あらゆるグラフィックス処理における同社の主導的地位を強固にするとし、アドバンスト・マイクロ ・デバイセズ(AMD)など他社が参入する余地がない訳ではないが、エヌビディアのリードは揺るぎないことを示すと述べた。

エヌビディアによると、アマゾン・ドット・コム、アルファベット傘下グーグル、メタ・プラットフォームズ、マイクロソフト、オープンAI、オラクル、テスラなど主要顧客が新半導体を使用する見込み。

エヌビディアはまた、単一の半導体販売からトータルシステムの販売にシフトしている。最新版は72個のAIチップと36個のCPU(中央演算処理装置)を搭載し、60万個の部品を使用、重さは1361キロに上る。

サミット・インサイツのマネジングディレクター兼シニアリサーチアナリスト、キンガイ・チャン氏は「ブラックウェル発表はエヌビディアが従来の『ホッパー』世代GPU(画像処理半導体)よりさらに多くの設備投資資金を獲得することを意味する」とし、同社が引き続きAI分野でリードするだけでなく、競合との差を拡大するとの見方を示した。

インサイダー・インテリジェンスのアナリスト、ジェイコブ・ボーン氏は、エヌビディアがAI分野での優位性を強固にする可能性があるとする一方、AMDやインテル、新興企業のほかテクノロジー大手の半導体内製化が、特にコスト意識の高い顧客の間でエヌビディアのシェアを脅かすと指摘した。

エヌビディアの株価は引け後の取引で1.4%下落。AMDはフアン氏の基調講演中に約3%下落した。

フアン氏は設計ソフトを手がけるアンシス、ケイデンス、シノプシスとの提携も発表。これを受けて3社の株価は約3%上昇した。

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