文化財「大戦末期に沖縄で収集された」 FBIが署名のない手紙発見 退役軍人の遺品から見つかった文化財 第三者から購入か

 歴代琉球国王の肖像画「御後絵(おごえ)」6点を含む文化財22点が、米東部マサチューセッツ州の退役軍人の私邸の屋根裏から見つかった件で、退役軍人が生前にこの文化財を第三者から購入したか、譲り受けた可能性が指摘されている。

 米連邦捜査局(FBI)は、亡くなった退役軍人は太平洋地域に従軍したことはないと説明。同時に、遺品と共に文化財が第2次世界大戦末期に沖縄で収集されたものであると記した、タイプライターで打たれた署名のない手紙も見つかった、と明らかにした。

 流出文化財の返還運動に取り組むNPO法人琉米歴史研究会の喜舎場静夫理事長によると、中城御殿から「おもろさうし」など貴重な文化財を大量に米本国に持ち帰った情報士官だったカール・スタンフェルト海軍中佐が1976年に死去。生前に文化財を売っていた記録や、死亡の翌年に家族がマサチューセッツ州内で開かれたオークションに200点以上を出品したことがあったと説明する。

 「この中佐が出所だった可能性は十分にある」と指摘した上で「県はFBIの盗難美術品ファイルへの登録だけでなく、王冠などまだ見つかっていない文化財を探す現地調査など積極的に働きかけることが不可欠だ」と話した。(学芸部・知念清張)

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