開幕戦でポテンシャルを見せた二人の投手と強肩&好リードの関東一・熊谷捕手。一方で新基準バットの影響も…【甲子園で輝いた選手たち/第1日】

18日に開幕した第96回選抜高校野球。大会第1日は3試合中2試合が延長タイブレークにもつれ込む熱戦となったが、その中から光るプレーを見せた選手をピックアップして紹介したいと思う。

投手でまず高いポテンシャルを見せたのが第1試合に登場した洗平比呂(八戸学院光星)と坂井遼(関東一)の二人だ。洗平は先発して9回を2失点、自責点1と好投。中盤以降は毎回のように走者を背負ったものの、しっかりと試合を作ってチームの勝利に貢献した。140キロを超えるストレートと、鋭く変化するカーブ、スライダーなどボール自体も素晴らしかったが、それ以上に目立ったのが走者を背負ってからの落ち着きだ。関東一は俊足の選手が多く、再三足で揺さぶりをかけてきたが、9回には一塁走者を自らの牽制でアウトにするなど最後まで崩れることはなかった。高校生のサウスポーとしては全国でもトップクラスの存在である。

一方の坂井は8回からリリーフし、延長11回に味方のエラーで3点を勝ち越されて負け投手となったものの、ストレートはこの日登板した投手の中で最速となる146キロをマークしてポテンシャルの高さを見せた。昨年秋と比べてもフォームの躍動感と腕の振りが明らかにスケールアップしており、それに比例するようにボールの勢いも増した印象を受ける。立ち上がりは変化球の制球に苦しみ、甘くなったボールを打たれるなどコントロールには課題が残ったが、この先も高い注目を集めることは間違いないだろう。

野手は新基準の金属バットとなった影響もあってか3試合でホームランは1本も出ず、完璧にとらえた長打も少なく、打撃で強いインパクトを残した選手は不在だったという印象だ。

しかし一方で高い守備力でアピールしたのが関東一のキャッチャー、熊谷俊乃介だ。昨年秋もその強肩ぶりは目立っていたが、一冬を超えてさらにレベルアップし、イニング間のセカンド送球は一人だけボールの勢いが違っていた。延長11回に盗塁を1つ許したが、これは走者一・三塁の場面であり、それ以外はほぼ完璧に相手の機動力を封じている。タイプの異なる二人の投手の良さを引き出したリード面も見事だった。打撃の確実性が向上すれば、さらに評価は高くなるだろう。

構成●THE DIGEST編集部

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