那須に新ブラーゼン 愛好家有志らがアマ自転車チーム設立 23日、真岡芳賀ロードレースで初陣

記者会見に臨んだ(左から)雨沢監督、前田会長ら=17日午後7時35分、大田原市の県北体育館

 自転車ロードレースの「那須ブラーゼン」が事実上消滅する見通しとなり、地元の自転車愛好家らが今月、新チーム「ブラーゼンサイクリング倶楽部(くらぶ)」を立ち上げた。当面はアマチュアチームとして活動し、23日の真岡芳賀ロードレースで初陣を飾る。これに先立つ17日は県北体育館で設立会見が開かれ、代表の前田幸雄(まえだゆきお)会長は「地域密着を第一に那須を盛り上げたい」と語った。

 選手、スタッフは全員がアマチュア契約。監督には元那須ブラーゼン選手で、欧州などでも活躍した雨澤毅明(あめざわたけあき)氏(29)が就任する。選手はロードとシクロクロスで2人ずつを確保し、ロードは全日本実業団自転車競技連盟(JBCF)のJエリートツアー「E3」(3部相当)に出場する。将来的には宇都宮ブリッツェンなどが戦う国内最高峰のJプロツアー参戦も視野に入れるという。

 レース以外では自転車関連イベントへの出演、自転車安全教室などを通した地域貢献に取り組むほか、サイクリングガイドなどの収益事業で経営安定化を図る。運営主体は任意団体。早ければ今秋の法人化を目指す。年間運営費は150~200万円を見込み、スポンサーや個人からの協賛を募る方針という。

 関係者によると、那須ブラーゼンは現在、所属選手が不在。運営会社「NASPO」が破産手続きの準備を開始し、チームは消滅する見通しにある。那須地域で長年自転車文化の振興に取り組んできた前田会長はこの流れに危機感を抱き、自転車イベントなどを手がける団体「那須高原オールスポーツアソシエーション」(NASA)の会員らに呼びかけ、十数人の有志で新チームを発足させた。

 会見では「九尾の狐(きつね)」や「勝ち虫」にたとえられるトンボをあしらったユニホームデザインやチームロゴ、エンブレムも紹介され、いずれも那須ブラーゼンのデザインを踏襲。前田会長は「ブラーゼンファンの思い、培ってきた自転車文化は守り、引き継ぐものと考えた。地域に応援、愛されるチームを目指す」と決意を示した。

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