基山町の東明館高の1年生25人が、現実の世界にデジタル映像を重ね合わせる「拡張現実(AR)」技術を活用したまちおこしプロジェクトに取り組んだ。13日に町民会館で成果発表会があり、地域のにぎわい創出や生活の利便性向上に向けて、ARを駆使した斬新なアイデアを提案した。
生徒たちは1~3月、八つのグループに分かれて基山駅や基山モール商店街の店舗などを取材し、課題を探った。来店客数の増加などを目指してAR作品を制作し、駅や店舗に設置したQRコードをスマートフォンで読み取ることでアクセスできるようにした。
基山駅を取材した班は、「駅から町に一歩踏み出す人が増えてほしい」との思いから、大型鳥エミューのキャラクターが駅から商店街までの道案内をしてくれたり、町内の観光名所をPRする作品を作った。海外からの観光客を見込み、4言語に対応している。
別の班は、飲食店のメニューの写真が少なく料理がイメージしづらいという課題を解決するため、料理が立体的に浮かび上がる様子をARで表現。画面に現れた扉をタップすると、個室があるかなど店内の様子をリアルに体感できる子育て世帯などに向けた仕掛けを作った班もあった。
プロジェクトに参加した喜多海翔さんは「たくさん失敗しながらも完成させることができてよかった。プログラミングに興味があり、将来に向けて刺激になった」と話した。発表会に参加した松田一也町長は「8チームそれぞれに町への愛情を感じた。これからのまちづくりの参考にしたい」と話した。
プロジェクトは同校とARシステム開発の「palan」(東京都)、地方創生事業を手がける「JICU」(鳥栖市)が企画した。(井手一希)